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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第35章 邪心の潔白
父の寂しそうで少しだけ傷付いた表情に少し胸が痛んだ。
「身分違いの婚姻は、とても努力が必要だぞ。」
「はい。」
「彼は、お前を蔑《ナイガシ》ろにして仕事を優先するだろう。」
「はい。」
「きっと、側室の概念も我々より薄いハズだ。〝貴族の嗜《タシナ》み〟だと言われてしまうかも知れないぞ。」
「うん・・・そんな日が来るかも、知れない。それでも・・・・・・」
「本当に、覚悟はあるのか?上流階級の世界は、努力だけでは超えられない壁が幾つも存在するんだぞ。」
「はい。もう・・・決めたの。私の居場所は、彼の・・・傍だって。
わがままで、ごめんなさい。」
父の意地悪ではない問い掛けに全て答えて許しを乞う。
「そうか・・・そこまで今のお前は、この出逢いに真剣か。」
「あなた・・・今までこの子には、苦労を掛けたわ。」