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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第36章 愛、故に。
「では・・・兄上は、なにがあっても彼女を傷付けると?」
「ふふ、そうね。兄は、私を愛してくれているから。私が傷付けられたと思っているからするでしょう。」
今さら自分さえ引き渡せば彼女が無事に戻るなど正攻法を期待している者たちをあざ笑う。
「〝傷付けた〟?」
「まさか・・・身に覚えがないなど、言いませんよね?」
「それは、あなたとの婚姻を拒んだことを言っているのか?」
「そうですよ。
ジュリアスさまも貴族ですもの。判っていたハズです。縁談を断られたたら私のような没落寸前の貴族がどんな目で見られるのかを。」
「それは・・・・・・」
「兄は、ソレを心底怒っておりました。
あなたからきちんとした弁明もないままに〝黒髪の乙女〟との婚約発表をするなんて・・・と。
だから兄は、私の為に行動を起こしただけのです。」