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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第37章 身勝手な贖罪
いま、この意地を通さなければ見ず知らずの者たちからも〝可哀想に〟と言われるだろう。それだけは、嫌だ。
皆が〝だったら仕方がない。ご縁が無かったのだ。〟と言ってくれるような正当な婚約破棄の理由が述べられるまでは、頷かない。
「ミエリア・・・あなたは、可哀想な人だ。」
「ジュリアスさまがもっとそうしているのだと、いつになったら気が付くのですか?」
「ミエリア・・・もういい。その握り締めた手を開いたらどうだ?」
「結局・・・私たちは、判り合うことは、出来ませんでしたわね。」
自分の気持ちなどこの人には、届くことがないのだと理解した。だったら兄の説得も無意味だ。
いいや。初めからする気などないが・・・
「着きました。」
「降りなさい。」
言われるままに車から降りた。