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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第39章 ソレは、〝黒髪の乙女〟・・・ 前
〝護る〟ことが私の全て。
たとえ自己満足の念いでも。行動だったとしても・・・彼を。彼の愛する全てのモノを〝護り〟たい。
〝護り続ける〟のが私の全て・・・・・・
その場の全員の動きが止まり吐息まで訊こえる程に静まり返っていた。男の腕の中で珱月であって珱月でない者が言葉を発していたからだ。
「どうしたの?間抜けな顔をして。〝私〟に逢いたかったのではないの?」
ソレは、男にニヤリと嗤って見せた。恐怖ではなく、荘厳に空気が張り詰めていく。
「お前、〝誰〟・・・だよ・・・・・・」
腕に抱いている者が〝何者か〟が判らず男は、明らかに動揺していた。
「自分から呼んでいきながら〝判らない〟とでも言うの?」
「まさ、か・・・ッ」
「そうよ。」
その一言で判る者には、判ってしまった。彼女の身体を乗っ取り現れたソレの正体に。