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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第39章 ソレは、〝黒髪の乙女〟・・・ 前
「どうしたの?逢いたかったのでしょう?〝私〟こそあなたの探していた〝黒髪の乙女〟なのよ。」
「お前が?」
「そう。この私が。」
「はっ・・・気でも狂《フ》れたのか、珱月?」
彼女の言葉を信じられるハズもなく男は、気がおかしくなってしまったのだと思った。
「〝黒髪の乙女〟、拝謁致します。」
信じていない男と対照的に婚約者の身体に宿った相手に彼は、丁寧に挨拶をする。
「近衛兵隊隊長・ジュリアス殿。大切な婚約者のお身体をお借りして申し訳ありません。」
礼儀には、礼儀でソレも返した。
「危険な目に遭わせて申し訳ありません。」
「私のことは、大丈夫。珱月のことも心配要らないわ。この子は、強い子ね。」
「はい・・・しかしそちらは、危険です。こちらへ。」
彼は、ソレに手を差し伸べる。