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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第39章 ソレは、〝黒髪の乙女〟・・・ 前
目の前で身構えている彼に柔らかく声を掛けた。
「〝黒髪の乙女〟・・・その身体は、知っての通りに俺の大事な人の物です。どうか、無茶をせずにこちらへ。」
「ジュリアス殿が珱月を慕って大事にされていることは、重々承知です。しかしながらこのままでは、負傷者が多数出てしまいかねません。それは、彼女も望んでいない結末なのです。」
「やめろ・・・〝黒髪の乙女〟っ、やめてくれっ」
「この国を害そうとする者を私は、見過ごすことなど出来ません。」
「やめろ、やめるんだっ。」
「(あなたを〝守りたい〟、それがこの子の願いでもあります。ジュリアス殿。目覚めてあなたとまた、逢えたのなら・・・そのときにいくらでもお叱りを。)」
やろうとしていることを察している彼に向かって熱く強い瞳を向けて心の中で謝って自分を押さえ込む男の腕をグッと掴む。