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チカちゃん先生のご褒美
第6章 チカちゃんからの最後のご褒美

「……こんばんはー……」

 付箋に書いてあったぎりぎりまで、近くのファストフード店で、時間を潰して。
 俺と野際は、暗い学校に、こそこそ戻った。
 チカちゃんがこの時間を指定したって事は、もう誰も居ないのかもしれないけど。見つからないようにするに越したことはない。

 視聴覚室は、外から簡単にアクセス出来ない作りになっている。
 扉を開けると、まず、前室が有る。その奥が、視聴覚室。扉の取っ手を掴んで押したり引いたりしただけじゃあ、開かない。取っ手を掴んで上にガチャンと音がするまで上げると開き、下にガチャンと音がするまで下げると、閉まると同時にロックが掛かる。その上で、鍵も掛けられる。
 なんでこんなに厳重かと言うと、防音だからだ。単に音楽をやるために使う事もあるけど、中で話される進路の事や相談事には守秘義務が有るし、視聴覚教材の模試をやる時は、外に問題が漏れたら意味無いからだ。

「よっ、と」

 俺は英語研究部に入っていたことが有るから、野際よりは視聴覚室に詳しい。前室に入って、扉を開けるのに邪魔になるから持っていた紙袋をそこに置くと、ガチャガチャ言わせて扉を開けた。

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