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チカちゃん先生のご褒美
第8章 知佳先生の奮闘

「君、新入生?」
「はいっ!?」
「びっくりさせて、ごめんね。鍵掛かって無かったかー」

 白衣の人……じゃなくて、先生は、白衣の陰で何かをカチャカチャ言わせながら、別に何も有りませんよ?みたいに、ごくごく普通に、にこっと笑った。

「悪いんだけど、扉に鍵掛けて……そっちで、ちょっと待っててくれる?」

 声が出せなかったから、頷くだけ頷いて、扉の所に戻った。

 鍵って……これ?
 鍵掛けてって言われた鍵は、縦にスライドさせて止める奴だった。掛けようとしたら、二回滑って、はまらなかった。三回目はゆっくりやったから閉まったけど……これじゃ、掛けたつもりで掛からないって事は、有りそうだ。

「どいて。」
「あ、すみません」

 さっきの脚の持ち主が衝立の後ろから出て来てそう言ったので、反射的にどいた。
 ネクタイの色が、紺。三年生だ。
 扉を開けようとしたけど開かなくって、イラッとしてる。

「あの……開けます?」

 今閉めたばっかりの戸を、開けてあげたのに。
 先輩はお礼も何も言わないで、すごい顔で私を睨んで、出て行った。
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