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チカちゃん先生のご褒美
第8章 知佳先生の奮闘

「それは、駄目。」
「ど、して……」

 ちゃんと、触りたい。
 太郎さんのことも、気持ち良くしてあげたいのに。
 太郎さんは、溜め息を吐いた。

「待たせてるって言ったのは、知佳だろ?じかに触ったら、どれだけ待たせる事になるんだか……それより、これを次のご褒美にしたら?」
「えっ……」
「『どこか受かったら、さっきおっきくしてたそれ、触ってあげるね』……ってのが、次のご褒美」
「そんなのっ……!」

 太郎さん以外の男の人のこれを、触るの?……それも、二人のを、いっぺんに……。
 イヤだ、って思った。
 無理だ、って。
 ……でも、同時に、お腹の奥がきゅっと疼いて、中から熱い蜜が溢れて来るのが分かった。
 やだっ……この位で、感じてなんか、いないもんっ……。

「……仕方ないだろ」

 自分に言い聞かせてたら、太郎さんが溜め息を吐いた。
 嫌がってるって、思われたのかな。

「受験までは、結構間が開くんだ。その位デカいご褒美じゃないと、モチベーションが保たない」

 ……それは、経験から、そう思うの?
 私が最初に見たのは、四月に三年生に、だったけど。
 それぞれの生徒に合わせて、時々、「ご褒美」をあげてたの?
 ……今はしてないみたいだし、そんな前のこと気にするのは、おかしいって思うけど……。
 私自身が「ご褒美」をあげるようになってから、思い出すのが、やめられない。

「……わかった……さわってあげるって、いってくる」

 乱れたブラとブラウスを直しながら、太郎さんの顔を見ずに呟いた。

「知佳?」
「なぁに?」
「頑張って」
「……うん。ありがと」

 私は太郎さんに笑顔を作りながら、化学準備室を出た。
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