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チカちゃん先生のご褒美
第9章 チカ先生の卒業
 トイレは、混んでいた。

 扉を開けると個室が二つ有る、その前にも並んでる人が居て、入るまでにしばらくかかった。気付いてなかったけど、金曜だから混んでるのかな。

「あ」
「あー、チカちゃんだー」

 トイレから出たら、男性用トイレの前に、野際くんが居た。やっぱり、目が赤い。

「大丈夫?飲み過ぎちゃダメよ」
「大丈夫……じゃ無いかもー」
「あ」

 肩の上に、腕が乗った。重たいし、距離が近い……けど。
 自分からは、止めてって言いづらい。
 さっきからさんざんセクハラとか言われてたから可哀相だし、若い子ならともかく、六つもおばさんなのにそんなこと言うの、自意識過剰すぎる。
 「重い」なら、言っても良いかな。

「ちょっと……腕、重いよー」
「チカせんせ?」
「なあに?」

 腕はそのまま、なんとなく肩を抱かれたみたいになりながら一緒に歩いて、トイレの前から席の方に移動する。

「俺らにくれたご褒美のこと、憶えてる?」
「え?……え」

 野際くんは耳元でそう言うと、酔っ払ってるとは思えない手付きで、横にあった椅子席の半個室の中に、私を押し込んだ。

「ちょ……野際く、んっ……」
「あー、懐かしい感触……相変わらずおっぱいデカいのな、チカちゃん」
「あ、やっ……!」

 半個室のベンチシートの上で、覆い被さるみたいにのし掛かられて、野際くんに服の上から胸を触られた。

「『ご褒美』って、綺麗な言い方しててもさー」
「え?」

 押し返そうとしてる私に、野際くんが笑う。

「生徒にあんな事したのバレたら、クビじゃね?」
「っ!」
「それも、校内で、二人に同時に、だもんなー」

 手がカットソーの中に入って、ブラの上から触られる。

「だめっ!のぎわく……」
「ご褒美とか言っちゃって、先生だって、楽しんでたじゃん?俺にセクハラって言える立場じゃないよねー、せんせ」
「ぅ」

 そう耳元で囁かれ、唇を指でなぞられて、体がふるえる。

「……キスは、させて貰えなかったよなー」
「やめっ……んっ……」

 唇を触ってた手で顎を押さえられて、キスされた。

 唇を合わせて、吸われて、舐められる。胸も、乱暴に揉みしだかれる。
 唇をぎゅっと閉じて、体を固くして、拒否したけど。

(バレたら、クビじゃね?)

 さっき言われた事が頭の中にチラついて、本気で抵抗することが出来ない。
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