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僕の美しいひと
第3章 じゃじゃ馬ならし
笙子が和かな笑みを浮かべながら、部屋の中に入ってきた。
落ち着いたライラック色のドレスを着た笙子は、匂い立つような優美な美しさを湛えていた。
鬼塚ががらりと表情と口調を変えて歩み寄る。
「小春、おはよう。お前は相変わらず綺麗だな。
…少し髪型を変えたのか?よく似合う」
美しい黒髪を結い上げ、垂らした髪を若々しく巻いた新しい髪型を鬼塚は手放しで褒め、愛おしげにその髪を撫でた。
清良が肘で郁未を突っつき、耳打ちした。
「小春って誰?
…てか、いいの?あんたの大好きな笙子さんがあのオヤジにベタベタ触られてるよ」
郁未が眉を顰める。
「小春さんは笙子さんの幼名だ。
…それから、鬼塚は笙子さんの兄だよ」
と、告げたのち、釘を刺す。
「僕は笙子さんのことは学院の指導者として尊敬しているだけだから、下らないことを言わないように」
「へ?兄?兄妹⁈ぜんっぜん似てない!」
目を丸くする清良に、鬼塚は睨みを効かせる。
「おい、お前。何をごちゃごちゃ言ってる?」
笙子は鬼塚の腕にそっと触れながら、取りなすように言った。
「お兄様、矢木清良さんよ。とてもお美しいお嬢さんでしょう?
これから、お世話をするのが楽しみだわ」
鬼塚は薄茶色の眼鏡越しに瞳を眇めて見せ、鼻を鳴らした。
「おい、お前。小春に迷惑をかけたら許さないからな」
「まあ、お兄様ったら…」
呆れる笙子に、鬼塚は蕩けるように優しい眼差しを向けた。
「いいな、笙子。あのじゃじゃ馬が何かしでかしたら直ぐに言うんだぞ。
俺がとっちめてやるからな」
「なっ…!」
清良の怒りが爆発する前に、郁未は急いで彼女の手を引き、院長室を出たのだった。
落ち着いたライラック色のドレスを着た笙子は、匂い立つような優美な美しさを湛えていた。
鬼塚ががらりと表情と口調を変えて歩み寄る。
「小春、おはよう。お前は相変わらず綺麗だな。
…少し髪型を変えたのか?よく似合う」
美しい黒髪を結い上げ、垂らした髪を若々しく巻いた新しい髪型を鬼塚は手放しで褒め、愛おしげにその髪を撫でた。
清良が肘で郁未を突っつき、耳打ちした。
「小春って誰?
…てか、いいの?あんたの大好きな笙子さんがあのオヤジにベタベタ触られてるよ」
郁未が眉を顰める。
「小春さんは笙子さんの幼名だ。
…それから、鬼塚は笙子さんの兄だよ」
と、告げたのち、釘を刺す。
「僕は笙子さんのことは学院の指導者として尊敬しているだけだから、下らないことを言わないように」
「へ?兄?兄妹⁈ぜんっぜん似てない!」
目を丸くする清良に、鬼塚は睨みを効かせる。
「おい、お前。何をごちゃごちゃ言ってる?」
笙子は鬼塚の腕にそっと触れながら、取りなすように言った。
「お兄様、矢木清良さんよ。とてもお美しいお嬢さんでしょう?
これから、お世話をするのが楽しみだわ」
鬼塚は薄茶色の眼鏡越しに瞳を眇めて見せ、鼻を鳴らした。
「おい、お前。小春に迷惑をかけたら許さないからな」
「まあ、お兄様ったら…」
呆れる笙子に、鬼塚は蕩けるように優しい眼差しを向けた。
「いいな、笙子。あのじゃじゃ馬が何かしでかしたら直ぐに言うんだぞ。
俺がとっちめてやるからな」
「なっ…!」
清良の怒りが爆発する前に、郁未は急いで彼女の手を引き、院長室を出たのだった。