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第3章 じゃじゃ馬ならし

「なんなんだよ！あのシスコン野郎！」
怒りを露わにしながら、清良は憤然と言い放つ。
「こら、先生に向かって何て口の聞き方だ」
「だってさ！あいつムカつくんだもん」
郁未は苦笑する。
「鬼塚先生は笙子さんを誰よりも大切にしているんだよ」
…鬼塚の笙子への愛は特別だ。
お互いに愛するひとがいて…けれど、二人の間には他人が立ち入れない…触れることもできない秘められた何かがある…。
それはとても美しい唯一無二のものだ…。

それを羨ましく思うこともあるけれど…
今はそっと静かに見守っていたいと思うのだ。

郁未は清良の手を強く握りしめ、振り返ると笑顔で声を掛けた。
「さあ、君を他の生徒たちに紹介するよ。
おいで」
清良は郁未を見上げると少し眩しげな表情をし…更にむっとしたような貌で唇を引き結んだ。