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僕の美しいひと
第3章 じゃじゃ馬ならし
郁未による清良の特別授業は、放課後行われた。
学院の授業が終わると、清良は院長室に向かう。
ドアノブを回し、中に入る。
椅子に座った郁未が静かに…しかし厳しく制止する。
「ノックをしなさい」
「へ?」
「部屋に入る時は、いきなり入ってはならない。
まず、軽くノックをして中から返事があって初めて入室が許されるのだ。
…それから、へ?はやめなさい。とても下品だ。女の子が使う言葉ではない」
「だって…」
「だってではない。はいと言いなさい」
清良は見る見る間に不満そうに頬を膨らませる。
忍耐強く郁未は繰り返す。
「…はいと言いなさい」
「はいはい」
郁未の端正な眉がぴくりと跳ね上がる。
「はいは一回だよ」
「は〜い」
「伸ばさない。もう一回」
「…はい」
これ以上ないほどの仏頂面で清良は返事をする。
「よろしい。では入って椅子に座りなさい。
君の為の特別授業を始める。今日は国語からだ。
教科書を開いて」
憮然とした清良を毛筋ほどにも気に留めず、郁未は涼やかな貌のまま、教科書を開いた。

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