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僕の美しいひと
第4章 真実と嘘
…令嬢たちの紹介が一通り終わり、一息つく。

郁未はふとバルコニーに面した窓際で、密やかに話している四十代半ばほどの夫婦らしき紳士と貴婦人に眼を遣った。

モスグリーンの品の良いイブニングドレスに身を包んだ婦人は、遠目でも目を惹くような美しい容姿をしていた。
…しかし、その美しい黒眼勝ちの大きな瞳はどこか哀しげに、他の招待客らを見るともなしに見ていたのだった。

その憂いを帯びた眼差しが妙に気に掛かり、郁未は婉子にそっと尋ねた。
「お母様、あのご夫婦はどなたですか?」
初めて見る夫妻だったのだ。

婉子は、郁未が目で追った方を振り返り、ああ…と頷いた。
「…高遠侯爵ご夫妻よ。
奥様は少しご体調を崩されて、しばらく那須の別荘でお暮らしになられていたの。
お父様と高遠侯爵は、帝大のボート部のOB会を通して懇意にしていらしてね。
高遠様にとても眼をかけていらしたのよ。
この春、奥様も東京にお戻りになったのでご招待したの。
…郁未さん?どうかなさって?」
「お母様、僕を高遠ご夫妻に紹介してください」
郁未のそのいつにない性急な様子に、婉子は不思議そうに眼を見張った。
「あら、お珍しい。
郁未さんから興味持たれるなんて…。
…これがお見合いのお相手なら良かったのに…」
そう言いながらも婉子は、高遠夫妻の方へ郁未をいざなってくれたのだ。

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