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僕の美しいひと
第4章 真実と嘘
「清良!清良!ここを開けてくれ!」
郁未の激しいノックの音に、清良が当惑したようにドアから貌を覗かせた。
「何?急に…。どうしたの?…」
清良はベッドに入っていたらしい夜着姿だった。
背中まで届く艶やかな黒髪がふんわりと波打ち、まるでお伽話の姫君のような幻想的な絵画的美しさを放っていた。
…時計は11時を回っている。
就寝時間はとっくに過ぎていた。
「起こしてすまない。無作法を許してくれ。
けれどとても大切な用事があるんだ」
郁未には珍しく無遠慮に中に入り、扉を閉める。
清良の貌が曇った。
「…結婚…するの…?」
「誰が?」
「あんただよ!見合いしに行ったんだろ?」
苛立ったように声を張り上げる。
…ああ…と、郁未はあっさり首を振る。
「見合いどころじゃなかったよ。
…清良、君のカメオを見せてくれ。あの首飾りだ」
清良がきょとんとした表情をする。
「カメオ?なんで?」
「いいから。早く見せてくれ」
郁未の尋常ではない急かし方に、清良は思わず素直に首筋に掛けられていたカメオの首飾りを外した。
受け取るとすぐさまカメオのペンダントトップに手を掛ける。
「ちょっと!何してんのさ!」
清良が声を上げた。
「このカメオ、開けたことは?」
「ないよ。…てか、これ開けられるの?」
目を丸くする清良に頷いて見せ、ゆっくりとカメオの表面を開いた。
…やや軋みながら、それは動いた。
「…あった…!」
…金色に輝く内部…そこには小さく折り畳まれた白い紙片のようなものが入っていたのだ。
郁未の激しいノックの音に、清良が当惑したようにドアから貌を覗かせた。
「何?急に…。どうしたの?…」
清良はベッドに入っていたらしい夜着姿だった。
背中まで届く艶やかな黒髪がふんわりと波打ち、まるでお伽話の姫君のような幻想的な絵画的美しさを放っていた。
…時計は11時を回っている。
就寝時間はとっくに過ぎていた。
「起こしてすまない。無作法を許してくれ。
けれどとても大切な用事があるんだ」
郁未には珍しく無遠慮に中に入り、扉を閉める。
清良の貌が曇った。
「…結婚…するの…?」
「誰が?」
「あんただよ!見合いしに行ったんだろ?」
苛立ったように声を張り上げる。
…ああ…と、郁未はあっさり首を振る。
「見合いどころじゃなかったよ。
…清良、君のカメオを見せてくれ。あの首飾りだ」
清良がきょとんとした表情をする。
「カメオ?なんで?」
「いいから。早く見せてくれ」
郁未の尋常ではない急かし方に、清良は思わず素直に首筋に掛けられていたカメオの首飾りを外した。
受け取るとすぐさまカメオのペンダントトップに手を掛ける。
「ちょっと!何してんのさ!」
清良が声を上げた。
「このカメオ、開けたことは?」
「ないよ。…てか、これ開けられるの?」
目を丸くする清良に頷いて見せ、ゆっくりとカメオの表面を開いた。
…やや軋みながら、それは動いた。
「…あった…!」
…金色に輝く内部…そこには小さく折り畳まれた白い紙片のようなものが入っていたのだ。