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僕の美しいひと
第4章 真実と嘘
「…あった…!これだ!」
やや強張る手で、その紙片を慎重に開く。
経年を経て、少し黄ばんだその紙片はしかし、高遠が言った通りの内容のものが達筆でしたためられていた。
「…命名…高遠…清良…。
何これ?」
郁未の手元を覗き込んだ清良が不思議そうに尋ねた。
「君の誕生日は…いつだ?」
「…四月二十日だよ…。あれ?…これにも四月二十日て…。
…父…高遠…義彦…
…誰…?何なの?これ…」
…間違いない。
…清良は…高遠侯爵の娘だ…!
おもむろに、郁未は清良の顎を持ち上げた。
「…ちょっ…!何するんだよ!」
暴れようとする清良に、静かに声を掛ける。
「…じっとして。よく貌を見せて…」
「…嵯峨…先生…」
清良の白い頬がみるみる間に桜色に染まる。
…形の良い眉…長い睫毛…黒く濃い瑪瑙のように深い色合いの大きな瞳…美しい鼻筋…珊瑚色をした可憐な唇…。
「…似ている…そっくりだ…!」
伊津子に瓜二つの美貌がそこにはあった。
焦れたように清良が身を捩り、郁未を突き放した。
「いい加減にしてよ!何なんだよ、さっきから!
あんた、おかしいよ!」
郁未が清良の腕を再び捕まえる。
そして、ゆっくりと噛んで含めるように告げた。
「…落ち着いてよく聞いてくれ。
君の本当のご両親が見つかった。
…君は…高遠侯爵夫妻…高遠義彦氏と伊津子さんとの間に生まれた娘、高遠清良だ。
…ご夫妻の正式な娘…つまり、高遠侯爵令嬢なのだよ」
やや強張る手で、その紙片を慎重に開く。
経年を経て、少し黄ばんだその紙片はしかし、高遠が言った通りの内容のものが達筆でしたためられていた。
「…命名…高遠…清良…。
何これ?」
郁未の手元を覗き込んだ清良が不思議そうに尋ねた。
「君の誕生日は…いつだ?」
「…四月二十日だよ…。あれ?…これにも四月二十日て…。
…父…高遠…義彦…
…誰…?何なの?これ…」
…間違いない。
…清良は…高遠侯爵の娘だ…!
おもむろに、郁未は清良の顎を持ち上げた。
「…ちょっ…!何するんだよ!」
暴れようとする清良に、静かに声を掛ける。
「…じっとして。よく貌を見せて…」
「…嵯峨…先生…」
清良の白い頬がみるみる間に桜色に染まる。
…形の良い眉…長い睫毛…黒く濃い瑪瑙のように深い色合いの大きな瞳…美しい鼻筋…珊瑚色をした可憐な唇…。
「…似ている…そっくりだ…!」
伊津子に瓜二つの美貌がそこにはあった。
焦れたように清良が身を捩り、郁未を突き放した。
「いい加減にしてよ!何なんだよ、さっきから!
あんた、おかしいよ!」
郁未が清良の腕を再び捕まえる。
そして、ゆっくりと噛んで含めるように告げた。
「…落ち着いてよく聞いてくれ。
君の本当のご両親が見つかった。
…君は…高遠侯爵夫妻…高遠義彦氏と伊津子さんとの間に生まれた娘、高遠清良だ。
…ご夫妻の正式な娘…つまり、高遠侯爵令嬢なのだよ」