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僕の美しいひと
第4章 真実と嘘

声を放って子どものように泣き続ける清良の髪を、伊津子は静かに撫でた。
そうして、まるで子守唄を歌うように囁いた。
「…清良さん、辛かったわよね。
信じていた母親が…実は貴女を奪ってきただなんて…」
伊津子の手は快かった。
その温かさに甘えるように吐露する。
「…母さんは…優しかったんだ…」
…こんなこと…このひとに言うべきじゃないのに…。
伊津子は清良を強く抱きしめた。
「ええ…。分かるわ。
そうでなければ、貴女がこんなに美しく優しく健やかに育つわけがないもの…」
「…でも…その優しさは嘘だったのかも知れない…。
あたしを伊津子さんから奪ったのは…復讐のためだったのかも知れない…。
あたしをずっと…ずっと憎んでいたのかも知れない…。
心の奥底では…あたしを憎んで…憎んで…愛なんかなかったのかも知れない…」
「…清良さん…」
思わず声を詰まらせる。
…このひとを困らせちゃいけない…。
このひとは一番の被害者なんだから…。
清良が泣き止もうと大きく息を吸った時、部屋の入り口から穏やかな声が聞こえた。
「それは違うよ、清良」
振り返るその先に、郁未が佇んでいた。
「…嵯峨…先生…」
郁未の背後には鬼塚がいた。
…そしてその隣の人物が目に飛び込んで来た瞬間、清良は驚きに声を上げた。
「…お梅婆ちゃん⁈どうしてここに⁈」
そうして、まるで子守唄を歌うように囁いた。
「…清良さん、辛かったわよね。
信じていた母親が…実は貴女を奪ってきただなんて…」
伊津子の手は快かった。
その温かさに甘えるように吐露する。
「…母さんは…優しかったんだ…」
…こんなこと…このひとに言うべきじゃないのに…。
伊津子は清良を強く抱きしめた。
「ええ…。分かるわ。
そうでなければ、貴女がこんなに美しく優しく健やかに育つわけがないもの…」
「…でも…その優しさは嘘だったのかも知れない…。
あたしを伊津子さんから奪ったのは…復讐のためだったのかも知れない…。
あたしをずっと…ずっと憎んでいたのかも知れない…。
心の奥底では…あたしを憎んで…憎んで…愛なんかなかったのかも知れない…」
「…清良さん…」
思わず声を詰まらせる。
…このひとを困らせちゃいけない…。
このひとは一番の被害者なんだから…。
清良が泣き止もうと大きく息を吸った時、部屋の入り口から穏やかな声が聞こえた。
「それは違うよ、清良」
振り返るその先に、郁未が佇んでいた。
「…嵯峨…先生…」
郁未の背後には鬼塚がいた。
…そしてその隣の人物が目に飛び込んで来た瞬間、清良は驚きに声を上げた。
「…お梅婆ちゃん⁈どうしてここに⁈」

