この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の美しいひと
第5章 新たなる扉
二人きりになった部屋で、清良は不意に恥じらうように俯いた。
いつもの勝気そうな表情はなりを潜め、ぎこちなく…はにかんだ表情が愛らしい。
そんな清良に微笑みかけ、明るく話しかける。
「君に渡したいものがある」
郁未は静かに立ち上がる。
クローゼットから金色のリボンが掛かった大きな衣装箱を取り出し、清良に手渡した。
「僕から君へのお祝いだ」
きょとんとした貌の清良に、言葉を添える。
「…開けてごらん」
素直にリボンを解き、箱を開ける。
「わあ…!綺麗…!」
清良は歓声をあげた。
…真珠色のシフォンタフタの艶やかなドレスが現れた。
襟元はシースルーで、縁に高価なスワロフスキーの透明な飾りがふんだんにあしらわれ、ふんわりと膨らんだプリンセス袖の清楚な美しいドレスだ…。
「…これ…あたしに…?」
郁未は頷いた。
「…高遠家で、君の服はたくさん用意されているだろうけれど…僕からもぜひ、お祝いしたくてね…」
清良が学院を去る日が決まるとすぐに、笙子の懇意にしている神戸のフランス人のデザイナーに頼み、ドレスを作ってもらったのだ。
「…これを着て、たくさんの夜会に出てくれ。
きっと、君は誰よりも美しいレディだ…」
清良はドレスを胸に抱きしめ、郁未を見上げた。
言葉に詰まりながらも、口を開く。
「…ありがとう…。嵯峨先生…」
…美しい黒い瞳…。
最初から…この澄んだ凛とした美しい瞳に魅せられていたのだ…。
どんな逆境に生きていても、決して穢れることのない美しい瞳に…。
郁未は、静かに微笑んだ。
「…君に頼みがある。
今夜、このドレスを着てくれないか?」
清良の長く濃い睫毛が瞬いた。
「…え…?」
「…君に…最後の授業をしたい」
いつもの勝気そうな表情はなりを潜め、ぎこちなく…はにかんだ表情が愛らしい。
そんな清良に微笑みかけ、明るく話しかける。
「君に渡したいものがある」
郁未は静かに立ち上がる。
クローゼットから金色のリボンが掛かった大きな衣装箱を取り出し、清良に手渡した。
「僕から君へのお祝いだ」
きょとんとした貌の清良に、言葉を添える。
「…開けてごらん」
素直にリボンを解き、箱を開ける。
「わあ…!綺麗…!」
清良は歓声をあげた。
…真珠色のシフォンタフタの艶やかなドレスが現れた。
襟元はシースルーで、縁に高価なスワロフスキーの透明な飾りがふんだんにあしらわれ、ふんわりと膨らんだプリンセス袖の清楚な美しいドレスだ…。
「…これ…あたしに…?」
郁未は頷いた。
「…高遠家で、君の服はたくさん用意されているだろうけれど…僕からもぜひ、お祝いしたくてね…」
清良が学院を去る日が決まるとすぐに、笙子の懇意にしている神戸のフランス人のデザイナーに頼み、ドレスを作ってもらったのだ。
「…これを着て、たくさんの夜会に出てくれ。
きっと、君は誰よりも美しいレディだ…」
清良はドレスを胸に抱きしめ、郁未を見上げた。
言葉に詰まりながらも、口を開く。
「…ありがとう…。嵯峨先生…」
…美しい黒い瞳…。
最初から…この澄んだ凛とした美しい瞳に魅せられていたのだ…。
どんな逆境に生きていても、決して穢れることのない美しい瞳に…。
郁未は、静かに微笑んだ。
「…君に頼みがある。
今夜、このドレスを着てくれないか?」
清良の長く濃い睫毛が瞬いた。
「…え…?」
「…君に…最後の授業をしたい」