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僕の美しいひと
第6章 すれ違う想い
…清良は、郁未が贈った真珠色のシフォンタフタのドレスを身につけていた…。
髪を綺麗にカールさせ、根元には白薔薇の生花を飾っていた。
遠目でも分かる華やかな…それでいて凛とした清冽さを感じさせる美貌が輝いていた。
清良は、眼に見えぬ美しいオーラを放って佇んでいた。
それは煌めく透明な光のオーロラのように、彼女を浮かび上がらせていた。
…招待客は皆、申し合わせたように押し黙った。
まさか、これほどの美しい少女が現れるとは予想だにしていなかったのだ。
しかもこの少女には、犯しがたい気品と気高さが既に備わり、辺りを払うような透明感のある威厳すら感じられていたのだ。
それらにこの場の人々は皆、一斉に魅せられてしまったのだ。
「…これは…!何と美しいお嬢さんだ…!」
いつもは茶化してばかりな賢一郎が珍しく直截に褒めた。
「…おい、郁未。なぜ口説かない?
こんなに良い縁談を断るなど、どうかしているぞ」
賢一郎は清良が郁未の学院にいた経緯を知らない。
「縁談などありませんよ。
お母様が勝手に盛り上がっているだけです」
兄をいなしていると、清良がこちらに視線を配った。
…郁未を見つけ、その大きな美しい黒い瞳が見開かれる。
思わず息を飲む郁未に、清良は大輪の花が咲くように微笑った。
それは限りなく無垢な美しい微笑みであった。
…あんなに冷たい言葉で拒んだのに…。
学院を離れる時、高遠家の車内から清良は瞬きもせずに郁未を見つめていた。
「…元気で…。幸せになりなさい…」
感情を抑えて告げた餞の言葉に、清良が何か答えようとした刹那…車は車寄せを離れた。
…その車を、郁未はいつまでも見送った。
様々な想いが胸を去来する。
郁未は清良への愛おしさが溢れてくるのを、懸命に抑えた。
「…おめでとう、清良…。
やはり、君が一番綺麗だ…」
郁未は誰にも聞こえぬように、小さく呟いた。
髪を綺麗にカールさせ、根元には白薔薇の生花を飾っていた。
遠目でも分かる華やかな…それでいて凛とした清冽さを感じさせる美貌が輝いていた。
清良は、眼に見えぬ美しいオーラを放って佇んでいた。
それは煌めく透明な光のオーロラのように、彼女を浮かび上がらせていた。
…招待客は皆、申し合わせたように押し黙った。
まさか、これほどの美しい少女が現れるとは予想だにしていなかったのだ。
しかもこの少女には、犯しがたい気品と気高さが既に備わり、辺りを払うような透明感のある威厳すら感じられていたのだ。
それらにこの場の人々は皆、一斉に魅せられてしまったのだ。
「…これは…!何と美しいお嬢さんだ…!」
いつもは茶化してばかりな賢一郎が珍しく直截に褒めた。
「…おい、郁未。なぜ口説かない?
こんなに良い縁談を断るなど、どうかしているぞ」
賢一郎は清良が郁未の学院にいた経緯を知らない。
「縁談などありませんよ。
お母様が勝手に盛り上がっているだけです」
兄をいなしていると、清良がこちらに視線を配った。
…郁未を見つけ、その大きな美しい黒い瞳が見開かれる。
思わず息を飲む郁未に、清良は大輪の花が咲くように微笑った。
それは限りなく無垢な美しい微笑みであった。
…あんなに冷たい言葉で拒んだのに…。
学院を離れる時、高遠家の車内から清良は瞬きもせずに郁未を見つめていた。
「…元気で…。幸せになりなさい…」
感情を抑えて告げた餞の言葉に、清良が何か答えようとした刹那…車は車寄せを離れた。
…その車を、郁未はいつまでも見送った。
様々な想いが胸を去来する。
郁未は清良への愛おしさが溢れてくるのを、懸命に抑えた。
「…おめでとう、清良…。
やはり、君が一番綺麗だ…」
郁未は誰にも聞こえぬように、小さく呟いた。