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僕の美しいひと
第6章 すれ違う想い
…清良と僕の関係を知っているのだろうか…。

郁未の警戒した雰囲気を察知したのか、原嶋は屈託無く説明をした。

「私は高遠侯爵と紀尾井町の紳士倶楽部で知り合いましてね。
それから親しくさせていただいております。
…清良さんがこちらにお戻りになってからは、頻繁に寄らせていただいているのです。
…このお美しいお嬢様に、身も心もすっかり奪われてしまった哀れな恋の奴隷ですよ」

清良は笑いだした。
「…原嶋様って…変わった方ですね」
「どうしてですか?」
原嶋は清良の貌を覗き込むように見つめる。
「…だって…私なんかにそんな突拍子も無いことを仰るんですもの…」
「そのお言葉がまことなら…貴女は本当のことが分かっていらっしゃらないですね。
貴女のその美しさと魅力は、並み居る男を平伏させる魔力があるのですよ」
「大袈裟だわ。…ねえ、嵯峨先生」
困ったように相槌を求める清良に、郁未は穏やかに答えた。
「貴女はお美しいですよ。
…誰よりも…。それは真実です」
「…先生…」
清良の白い頬が美しい薔薇色に染まった。

原嶋は男らしい眉を跳ね上げ、やや懐疑的に尋ねた。
「嵯峨様は清良さんとどういったお知り合いで?
随分、仲睦まじいようにお見受けしましたが…」
口を開こうとした清良より先に答える。
「母と伊津子様は古い友人でしてね…。
その関係でお会いしたことがあるのです。
…今日は一言お祝いを申し上げたくて、伺ったのです」
「嵯峨先生…」
切なげに郁未を見つめる清良に、原嶋は冗談めいた口調で切り出した。
「安心しました。
嵯峨様のように見目麗しく由緒正しい貴族のご子息様が恋のライバルでは勝ち目はありませんからね」
…そうして広間の中から漏れてくる音楽に耳を傾け、陽気に目を輝かせた。
「ワルツだ。…清良さん、私と踊っていただけますか?」
「…え…でも…」
清良の瞳が郁未を見上げる。

「どうぞ。私の話はもう済みましたから」
咄嗟に出た冷淡な言葉に、清良は貌を曇らせた。
「さあ、清良さん。
…どうか私とワルツを…」
一見、野性味溢れる風貌とは不似合いなほどに優雅に胸に手を当てて、お辞儀をする。
その様は意外なことに、男の色気を存分に醸し出していた。

一息吐いたのち、清良がゆっくりとレースの手袋に包まれた白い手を差し出した。
…男の褐色の大きな手が恭しくその手を取った。








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