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僕の美しいひと
第6章 すれ違う想い
原嶋にいざなわれ、清良は広間へと進んだ。
去り際、一瞬郁未を振り返り…諦めたように寂しげに目を伏せ、再び背を向けた。
二人が広間に戻り華やかなワルツの輪に入ると、郁未は深く息を吐いた。
大理石の柱に背中を預ける。
煌めくシャンデリアの灯りの下、清良は原嶋に巧みにリードされ、軽やかに踊り始めた。
恐らく、ダンス教師に付いて習ったのだろう。
若い娘らしい瑞々しく愛らしいステップであった。
清良が原嶋のリードで滑らかに回る度に、シフォンタフタのドレスがふわりと夢のように美しく広がる。
…逞しく雄々しい原嶋に抱かれて踊る清良は、さながら可憐な姫君のように美しかった。
この夜会の主役の清良と、やや粗野ではあるがどこか野蛮な優雅さを兼ね備えた原嶋との組み合わせは、招待客の注目を一瞬にして奪っていた。
それは、感嘆のため息すら聞こえてきそうなほどであった。
…似合いの二人だ…。
我知らず、胸が痛む。
…馬鹿な…。
郁未は首を振る。
…清良のことは、もう諦めたではないか…。
自分が愛を告白したとしても、彼女を幸せには出来ない…。
清良の過去が暴かれる可能性がある限り…自分は、その選択をすべきではないのだ…。
…けれど…。
大輪の薔薇のように馥郁たる美を放つ清良を我がもののように抱き、熱の篭った眼差しで見つめる原嶋に、郁未は初めて抑えきれぬ嫉妬心を感じた。
去り際、一瞬郁未を振り返り…諦めたように寂しげに目を伏せ、再び背を向けた。
二人が広間に戻り華やかなワルツの輪に入ると、郁未は深く息を吐いた。
大理石の柱に背中を預ける。
煌めくシャンデリアの灯りの下、清良は原嶋に巧みにリードされ、軽やかに踊り始めた。
恐らく、ダンス教師に付いて習ったのだろう。
若い娘らしい瑞々しく愛らしいステップであった。
清良が原嶋のリードで滑らかに回る度に、シフォンタフタのドレスがふわりと夢のように美しく広がる。
…逞しく雄々しい原嶋に抱かれて踊る清良は、さながら可憐な姫君のように美しかった。
この夜会の主役の清良と、やや粗野ではあるがどこか野蛮な優雅さを兼ね備えた原嶋との組み合わせは、招待客の注目を一瞬にして奪っていた。
それは、感嘆のため息すら聞こえてきそうなほどであった。
…似合いの二人だ…。
我知らず、胸が痛む。
…馬鹿な…。
郁未は首を振る。
…清良のことは、もう諦めたではないか…。
自分が愛を告白したとしても、彼女を幸せには出来ない…。
清良の過去が暴かれる可能性がある限り…自分は、その選択をすべきではないのだ…。
…けれど…。
大輪の薔薇のように馥郁たる美を放つ清良を我がもののように抱き、熱の篭った眼差しで見つめる原嶋に、郁未は初めて抑えきれぬ嫉妬心を感じた。