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ガーネット弐番館
第10章 新しい出来事
気持ちよかったー。

体重を預けてくる航平が、重たいんだけど心地よい。

「ん?」

少し気だるそうに、航平が伺いながら顔周りにキスを落としはじめる。

そんな航平の顔にそっと手をやって見つめ合うと、唇を睦美から重ねる。

「今日も気持ちよかった...」

「ん。...俺も」

今日は、普通に遅く帰ってくる日のはずなのに、びっくりするほど早く帰って来た。

コタツのところで数日後に控えた披露宴もどきの準備をしていたのが、途中のままだ。

居間には電気が付けっぱなしで、居間から寝室にかけてに航平のスーツやらシャツやらと、睦美が着ていた部屋着が散乱している。

「今日も睦美に襲われた」

耳元でそう囁いてから、航平がゆっくりと体を離してゆく。

襲ってなんか!

いや、でも久しぶりに航平のスーツ姿を見て、ムラムラっとしたのは確か。

でもテーブルに置く名札の裏にちょっとしたお礼を書いていた睦美に“ちょっかい”を出てきたのは航平だし。

じゃれあっているうちに、本格的になってしまって。
ベッドまでの畳の上で、睦美が航平の上になってー。

...うん。襲ってたかも。

思い出すだけで恥ずかしい。

「ん」

布団を被ろうとしたところ、航平の手が伸びてくる。

「シャワー、浴びよ」

一緒にシャワーを浴びるのは久しぶりかも。

「うん」

両手を重ねて、引っ張って起こしてもらう。

散乱した服を各自で拾いながら、風呂場に急いだ。




「結構することあんのな」 

先にシャワーから出た航平が、こたつテーブルの上の睦美作成のカードをひとつひとつ見ている。

さっきは恥ずかしいからと嫌がって逃げてて、いちゃいちゃが始まって。
今もまだ恥ずかしいけど、もうじっくり見られてしまっているし。諦めるしかない。

「必須じゃないんだけど。やっぱり一言あったら嬉しいかなって」

友人の結婚式の時、書かれてあると嬉しかったから、それを実践したまでだ。

来るのは、家族とわずかな親族と本当に近しい友人だけだ。
それでも、航平も睦美も20人ほどずつになった。

睦美が着るドレスも、適当に白っぽいワンピでも買おうかと思っていたのに。
いつのまにかウェディングドレスを借りることになってしまった。

あまり派手さのない、シンプルなものにしたけど。
一緒についてきた母親と妹のほうが、盛り上がってた。
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