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ガーネット弐番館
第11章 令和婚
これから撮影やら取材やらで緊張している上に軽く人見知りなので心配していた。
それが分かってワザとなのか、SACHIさんが常に面白可笑しくしゃべり続けて場を和ませてくれた。

荷物や障害物も多い室内を、アシスタントの戸田くんにライトを変えさせたり、あちこちに移動して指示を出しつつYUKIさんが写真を撮り続ける。

終わるころには、そんなカメラの存在を忘れるほど笑い転げていた。

「表にまで笑い声が聞こえてるけど」

そう言いつつ、スタッフルームには行って来たのは航平だ。
怒っているというより呆れている。

「あ、ごめんなさい」

「航平、もういいの?」

「ピークは済んだから」

どうやら斎藤にせっつかれて、レストランを後にしたらしい。

「はーい。じゃ、新婦さんは、もういいわ。着替えちゃって。新郎さん、こっち座って~」

「え、俺はこのままで」

「何言ってんの。斎藤マネから注文受けてますから~」

SACHIに腕を引っ張られ、半ば無理矢理椅子に座らされている。

「は。あの人何言って」

「お店の為でしょ~」

そう言われると、航平も反論できないらしい。

黙って、しかし不服そうに髪の毛をコテで巻かれている。

ロッカーの横のカーテンで仕切られた着替えブースらしきところで、ウェディングドレスに着替える。

ウェディングドレス専用、そして睦美用に胸のところが“上げ底”された下着を付けて、ドレスを着る。

最後YUKIさんが背中を止めてくれて、着替えは終了した。

鏡がないスペースなので、イマイチ全体がどうなっているかは分らない。

「よし。じゃ、外で先に新婦さんの撮影しますか」

まだ航平はヘアセットに時間がかかっている。

その後ろを通って、外に出た。

スタッフルームからレストランまでは徒歩で数分。

YUKIさんに言われるがまま、レストランの蔵をバックにポーズを取って写真に納まる。

ほどなくして、どこかのアイドルかホストかのような白いタキシードを着た航平が出てきた。

いつもはストレートな髪の毛がめちゃめちゃキメてあって、見慣れないからか面白い。

笑えちゃうけど、なんだか恥ずかしくもあり、不思議なカンジだ。

「お~、2人揃うと絵になるね~。ほら、もっとくっついて!」

そう言われても。

2人して、ぎくしゃく近づく。
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