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ガーネット弐番館
第12章 Bridal night
不意に航平が起き上がり、立ち上がる。

「ベッド行こ。こんなトコで寝てたら風邪引く」

「そうだけど...」

なんとか体を起こして周りを見渡すも、こたつは変な向きに押しやられている。
こたつの上のプラの器に入っていたナッツは、こぼれて散乱している。
睦美が最後まで持っていた、おちょこはこたつの上には見当たらない。
こたつの周りには、睦美のパジャマや航平のTシャツやら下着が脱ぎ散らかしたままで。
2人の体の下のこたつ敷き至ってはしっとりと濡れ、あちこちに変な皺が入って、これまた変な向きな気がする。

明るい部屋の下、それらが一見にして目に入ってくる。

いつもなら仕事柄几帳面な航平がささっと片付けるのに、流石にその気力はナイらしい。
かろうじて、カウンターにあったペットボトルのお茶を取り出して一気に半分ほど飲み干し、睦美に差し出す。

「ん」

いつもなら「ペットボトルのお茶なんて非経済的」とかなんとか言って飲まないのに。
相当喉が渇いていて、なおかつ、カウンターの中に入り蛇口を捻る気力がなかったと見える。

睦美も、いつもなら慌てて何か脱ぎ散らかしたものを押し当てて、カラダを隠そうとするのだが。
そんな気力は到底なかった。

差し出されたお茶を飲む手にすら力が入らなくて、上手く飲めない。

いつの間にか、ジャージ下だけを履いた航平が、睦美のパジャマの上着を探し出してくれたらしい。
お茶を飲む睦美の肩にふんわりかけてくれた。

「連れてってあげたいけど、俺も限界」

そう言って手を引っ張って起こしてくれようとするけれど、上手く力が入らない。

ふらふらになりながら立ち上がり、2人でベッドに倒れ込んだ。

なんとか航平が布団を引き上げて、2人でひとつの布団にくっついて入る。

寝ころんでから、居間の電気がつけっ放しだと気付く。
寝室との間の襖ももちろん閉めれてなくて、煌々とその光が入って来ている。

ふり返るようにして、居間を気にしていたら、航平にぎゅうと抱きしめられ布団の中に連れ帰られた。

「も、諦めて。寝よ」

「うん...」

電気代が気になるけど、確かにあっちに戻る気力は無い。

だけど...。

「ね、重いんだけど」

腰に航平が巻き付いて、睦美の胸からお腹にかけて頭を乗せ、体重を預けている。

「ん...」

退く気配はなさげだ。
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