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ガーネット弐番館
第13章 花の名前
そう言う航平の顔はやっぱりちょっと笑ってる。

結婚してから。
そして、愛娘の菫恋が産まれてから。
それまでよりはであるが、柔らかくそして零れるぐらい笑うようになった。

それは航平も自覚している。

唇が今にも触れそうな距離でもう一度小さく笑いあうと、そのままゆっくりその唇を重ねた。

「んっ...」

それを合図かのように、スローではあるが互いの腰をぶつけるように動かしてゆく。

「っ...あ、あ、すごっい、気持ち、いい」

「...ん」

ゴムを纏った時とは明らかに違う、粘膜と粘膜がゆっくりと擦り合う感覚に、頭がクラクラするほどの快感が走る。

小さかった航平の動きが、大きく奥を狙うように動き出す。

「ああっ!」

奥に当たって、たまらず睦美が顔を上げ、背中を反らせ上体が浮き上がる。

「ダメ?」

心配そうに、航平が動きを弱める。


昨日下の住人が引っ越すまで、睦美たちと同じ寝室にベビーベットを置いて菫恋が寝ていて。
気になって、ずっと大人しいセックスしかしてない。

下が空き部屋なら少々泣いてもいいからと、四畳半のあの部屋を子供部屋にして、菫恋は今日から1人で寝始めたのだ。

それで、ついでにゴムも解禁にしようと睦美が言い出した。

睦美はずっとそうしたかったのに、心配性の航平が渋ってたのだが。


「...ダメ、じゃないっ」

完全に起き上がった体を小さく揺らしながら、睦美が顔を横に振る。

「大丈夫?本当に??」

今度は何度も顔を縦に振る。

妊娠が発覚してからも、もちろん激しく出来なくて。

ずっとこの日を待っていた。

「...激しいの、好きだもんね」

航平が嬉しそうに起き上がって睦美の体に腕を回す。
唇を重ね差し入れた舌を絡め、ベッドのスプリングを使って睦美の体を揺らし始める。

また奥にググッと当たって、睦美の体が跳ねる。

「もっと、おくっ...ああっ、これす、きぃ、んあっ」

睦美も航平の頭に腕を回し、その舌を受けつつ、体を弾ませる。

「あっ、...っ、んあっ、あっ」

ベッドの上で飛び跳ねるように大きく動き出し、睦美はしがみついているのがやっとだ。

胸元に荒々しい息がかかって、航平が睦美の望む激しさを伴って力強く突き上げているのが分かる。
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