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ガーネット弐番館
第3章 熱



...なんだったんだ。



めちゃくちゃめちゃくっちゃ...気持ち良かった。


びっくりして、頭が追い付かないけど。


相手は、あの航平で。

それにもびっくり。


航平はあの外見とかからして、きっとクールというか、淡白で。

自分だけ気持ちよくなってそうな。

そんなイメージだった。


あんな蕩けるぐらい優しく大事に扱ってくれるなんて。


思い出しただけで、カラダが熱くなって、じんわり濡れてゆくのがわかる。


睦美は抱きしめていた枕に今一度力を込め、布団の中でぐるりと向きを変えた。


どうしようどうしよう。



3年前、30歳を迎えた年に、

『カラダだけ、とか、カラダからの関係は終わりにしよう!』

と文乃たちと宣言した。


そうしたら、年齢のセイかもしれないが、途端にモテなくなって。

時には、その宣言を破ることもあったり。

失敗を重ねて、睦美も慎重になってきてー。

出会いはまだかろうじてあるものの、カレカノになりにくくなっていた。



航平の時も、最初の頃は何回か誘われた気がする。

まだ早いとかわしているうちに、ただの飲み友達みたいになって。

そのうち、フェイドアウトになってしまったけど。


そういや、言い出しっぺの文乃が勿体無がっていたっけ。

「一回ぐらいヤっとけばよかったのに」って。



航平も思ってたかな。

「一回ぐらいヤラせろよ」って。

それで、今日会おうとしたんだろうか。

っていうか、今日会った最初から、そのつもりだったんだろうか。


「シャワー浴びる?」

急に背後から声がして、びくっとなる。

タオルで髪を拭きながら上半身裸の航平がシャワーから帰って来た。

鴨居に片手をかけて、こちらの部屋を覗き込んでいる。

そのポーズといい、声のトーンといい、なんだかすんごくエロい。

引き締まって、うっすら割れた腹筋。

腰のあたりで緩く履いたジャージ。


ん?ジャージって、持参してんの?

やっぱり最初から...。


「...浴びないなら、こっちの電気とか全部消すけど」

「今日、最初から、このつもりだった?」

思わず食い気味に口にしてしまう。

しまったと思ったけど、言っちゃったものは仕方ない。

「うん」
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