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ガーネット弐番館
第1章 再会
約束の時間に遅れることが少ない文乃が、珍しく遅れてて。
さっきからLINEもつながらないし。
何をしているんだか。
駐車場が混んでて、とめる場所を探してウロウロしてるのかもだけど。

スマホをまた確認するけど、まだ文乃からの連絡はないし。
既読にもなってない。

「池内...さんだっけ?彼女は来ないと思う」

「はっ?」

予想外過ぎる言葉に、意味が理解できない。

池内、とは、文乃のことだ。

1年半ほど前の文乃たちと参加したコンパで、航平と出会った。

だから、連絡先を知っていても不思議ではない。

だけど、睦美とはフェイドアウトして、1年以上も連絡なんて取ってないのに。
文乃とは繋がっていたということか。

いや、その前に。
航平は、1年ほど前にここから電車や新幹線を乗り継いで半日はかかる場所に転勤になって、この街に居ないハズだ。

頭の中で色んな思いがぐるぐるして、今のこの状況が飲み込めない。

「とりあえず、メシ行こうぜ。腹減った」

「え?文乃...来ないの??」

騙された??

とりあえずは、そういうことだ。

「だから、そう言ってるだろ」

そんなムッとして言われても。

怒りたいのはこっちだ。

「...ちょっと電話する」

LINEだときっと埒が明かない。

電話なんて久しぶりに掛けるけど、緊急事態だ。

「いいけど。店に移動しながらにしてくれる?」

そろそろ夕食の時間帯になる。
レストラン街が混み始めると、どのお店も1時間以上待つ
ことになる。

睦美もそれは気になっていて、だからこそ遅れている文乃を心配していた。

「え、ちょっと...」

立って人混みから離れて電話を掛けようとしていたのを、半ば抱えられるようにして、移動させられてしまう。

ほど近くにあったエスカレーターに乗せられ、ぐんぐんレストラン街のある階まで移動してゆく。

その間ずっとコールしていたが、最上階に着く頃、やっと文乃が電話に出た。

「...はい」

明らかにバツが悪そうな声だ。

「ちょっと文乃!どういう」

「ごめんごめん。頼まれてさ。ま、会えてよかったじゃん」

「よくないよ!!」

大声を出そうとして、すぐ横に航平がいることを思い出す。

「睦美も言いたいことあったんでしょ。この際、ばーっとぶちまけちゃいなよ」

「!何言って」
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