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ガーネット弐番館
第1章 再会
って、呼びつけた??

そうよ。そうだった。

航平のその言葉に、今日再会した事実を思い出す。

「ねぇ、なんで?今日って、...これ何?」

どう聞いていいか分からず、少し強めに出た言葉に、航平が笑う。

「なにって...。誰かさんが、ブロックしてるからさ。池内さんに、頼んだんだけど」

ああ。確かに。

そういえば、確かにブロックした。

だけど、それは。

関係がうやむやのまま、航平の転勤が決まったとだけ聞かされて。

その後、忙しいとかで、3日も4日も、既読スルーで。

自然消滅なのかなーって。
 
それを気にしている自分が嫌で。

一週間経ったところで、諦めてブロックした。


あの状況だったら睦美じゃなくても、そうすると思う。

別に、コンパで出会った後で何回かデートしてもなんとなくそのままフェイドアウト〜、とか。
そんなの珍しくもないし。 

よくある話。

ちゃんちゃん。

ぐらいにしか、思ってなかった。
 
1年も経って、こんな風に呼び出されるのは珍しいけど。


「なんでまた?」

またこっちに転勤になったとか??

航平は、大手飲食チェーン店のマネージャーで。
全国にある業績不振な支店を立て直すような、そんな仕事内容の為、各地を転々とする仕事をしていた。
本社での仕事も多く、数日かけての出張も多い。
休日も不定期だ。

そのせいか、なかなか彼女と長続きしない。と聞いた気がする。 

それが無ければ、スペックは高く、かなりモテるー。と思うんだけど。

かつて地方で数回会っただけの睦美に、特別の用があるとも思えない。

何か貸してた?
それとも借りてたっけ??

「...んー。まあ、色々あってさ」

いつの間にかテーブルに置かれていた暖かいおしぼりを広げて、手を拭いている。

少し伏せがちのまぶたに、長いまつ毛が際立って見える。

なんだか意味深なその間に、ドキリとしてしまう。

「そっちは?何してた?」

不意に伏せ気味だった目があげられて、バッチリと目線が合う。

「...別に」

こちらが見ていたことを悟られまいと、目線を外す為に内心慌てておしぼりを手に取る。

恐らくバレバレだろう。

表情にはたいして見えないが、笑われている気がする。

「別にって。一人暮らし、始めたんだろ」

「うん...」

文乃から聞いたのだろうか。
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