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ガーネット弐番館
第6章 ルール
本当は睦美も毎日でも外に干したいぐらいなのだが、平日の日中は仕事なので休みの日にしか干せない。

今まで外に干せない時は、光が当たる窓際に並べてなんとなく干した気になっていた。

けど全然違った。やっぱり。

思い出して、うっとりしてしまう。

ふわふわでふかふかなお布団に包みこまれて、寝つきが悪い睦美もすぐ眠れた。

「ほんっと、昨日はすっごい気持ち良かった~」

本当に素直な感想を心を込めて述べただけなんだけど。

なんだか航平がパエリアを食べながらにやりとしている気がする。

「ふーん」

ちょっとした間があって、はたと気づく。

取り方によっては、スゴイ事言ってる?

慌てて、航平の腕を掴む。

「いや、布団よ!布団が気持ちイイって話だからね」

「知ってるって」

なんか悔しい。

掴んでいた手を離し、おちょこのお酒を飲み干す。

ああ、最後の一杯をちびちび飲むつもりがー。

もうちょっと飲んじゃおうかな...。

一升瓶に手をかける。


頭にぽんぽんっと手が置かれ、航平の顔が近づいてきた。

!!!

急な至近距離に驚くばかりで、身動きが取れない。

唇が触れるか触れないかの距離まで近づいて囁く。

「今日も気持ちイイこと、する?」

え?

何??

お酒のせいか顔が熱い。

真顔でそんなコト言われたら、どうしたら!

「あ、え。なん、のことか」

ホントは意味わかってるんだけど。

「ん?」

ヤバイ!今の、ん?は、超エロかった!

「...する」

思わず、するって言っちゃった。

言わされちゃった。

「だよな」

そう言ってさっと離れた航平が、同時に一升瓶を遠くに置き直した。

あああ。お酒~。

一升瓶にかけていた手が宙をさまよう。

「ほら、早く食べて。また遅刻するぞ」

「だから遅刻してないって」

新たによそわれたパエリアを、大きく開けた口に入れた。







「ん」


風呂上り、航平がまた布団を持ち上げて、睦美を誘う。

凄く自然に。


睦美は素直に、その布団の中に潜り込んだ。


残り1ヶ月ちょい。


恋人気分を味わおう。



1ヶ月ちょいなら、好きでいていいかな。



言葉に出して聞けない分、ぎゅうっと抱きついてみる。
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