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ガーネット弐番館
第7章 unusual
今更、何言い出してるんだ。

と少し呆れた顔で航平が覗き込む。

その瞳に嘘は無くて。

本当に婚約しているのかと錯覚しそうになる。

「婚約...したの?私たち」

いつの間にか航平の腕を掴んでる。

「ん?何言って」

「婚約してたの??」

いつの間に??

そんな覚えが全くないんだけど!?

「いつ!?」

「んー。いつ、って言われてもなぁ。正式には、指輪を渡した時になるのかな」

そういう意味じゃなくて!

え、ちょっと待って。

私プロポーズされてないけど!?

っていうか。

航平は、微妙な元カレで。

いつの間にか、セフレになってしまって。

今は、居候になってしまった。

私の知らない間に、婚約者になったりする???



え?

何これ?

ドッキリか何か??

慌てふためくのを見て楽しむ的な???


んな、気が付いたら婚約してました〜。


なんてことある?

やっぱり、冗談か何かでは???

航平の真意が分からない。


頭が追いつかなくて、時が止まったみたいに考えてしまう。


「そろそろ出るか」

航平がお会計を済ませ、店を後にする。

タクシーで辿り着いたのは、有名な高級ホテルだ。

「嘘でしょ...」

航平が仕事でよく泊まるって言ってたから、てっきりビジネスホテルだと思っていた。

「...大丈夫なの?」

「またそれ?しつこいな」

また軽くむっとしている。

車を置きに一度来て、チェックインも済ませていたらしく、ロビーで部屋番号を言いカードキーを受け取る。

いつの間にか指を絡めた手があって、本当に恋人みたい。

エレベーターは、上のほうの階で止まる。

航平に案内された部屋は、窓ガラスが大きく街の夜景がよく見えた。

クィーンサイズのベッドが、2つ並んで。
なおかつ、ソファもあって。
テーブルには、シャンパンも用意してある。

「凄い部屋...」

窓際で、夜景を見下ろす。

これは現実???

「いつも泊まるのは下のほうの階だけどね。今日は特別。気に入った?」

後ろから航平が抱きしめてきた。

「...恋人みたい」

「ん?恋人だろ?」

航平の指がコートにかかって、脱がせてくれる。

「恋人なの?」

「何を今更」

ハンガーにコートを掛けながら、航平が苦笑いしている。
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