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ガーネット弐番館
第9章 現実と理想と
テーブルに戻り、デザートを食べて、お腹いっぱいになって部屋に戻る。
昨日の、というか、今朝までの生々しい雰囲気が残っていて、なんだか恥ずかしくなる。
眠ろうと思っていたけど、とてもこんな中で眠れそうにない。
まだまだ時間はあったが、睦美は部屋を出ることに決めた。
自分の荷物をまとめ、いつの間にか出来上がっていた航平の荷物も持って、ロビーに降りてゆく。
フロントに荷物を預けて、近隣を散歩しようと思ったのだ。
一度外に出てみたが、春一番なのか、風がとても強く寒くて散歩どころでない。
仕方なく、ホテルの中で時間を潰す。
豪勢なロビーやその周りには、意外と見るものが多かった。
高級ブランドの店なんかも入っていて、普段ならあまり入らないそんな店を見て回った。
結婚式の当日なのか、前撮りなのか、ゴージャスな階段の辺りでプロっぽい人に写真を撮ってもらっている新婚さんもいる。
一通りぐるっとして、ロビーに戻って来たものの、航平が戻ると言った時間まではあと1時間近くある。
人がいっぱいだけど、ロビーの椅子に座って待つことに決めた。
どこか空いているところは...。
探していると、とてとてとおぼつかなく歩いている子どもが目に入る。
「ちょっと、ルイ」
数歩で追いついたお母さんがひょいと抱き上げて、その姿で思い出した。
朝のレストランで見かけた、手を振った子どもだ。
「すいません」
お母さんが、困ったように謝られた。
「いえいえ」
別に迷惑とかじゃないし。
抱っこされたそのルイくんは、捕まったのが嬉しいのかきゃっきゃと笑っている。
お母さんは窘めながら背を向けて歩き出したが、こっちに顔を出したルイくんが、睦美に手を振ってくれた。
ちょっとだけ振り返す。
「...誰に手を振ってんの」
不思議そうで、少し不機嫌そうな声がした。航平だ。
「あ、え。早かったね」
一応、LINEでロビーに居ると連絡はしてあったけど。
振り返ると、航平の横にもう1人、スーツの人物が立っている。
「同じグループ会社の斎藤さん」
「今日は」
「あ、どうも...。睦美です」
なんと言っていいやら。
婚約者です、って言うのも変だし。
昨日の、というか、今朝までの生々しい雰囲気が残っていて、なんだか恥ずかしくなる。
眠ろうと思っていたけど、とてもこんな中で眠れそうにない。
まだまだ時間はあったが、睦美は部屋を出ることに決めた。
自分の荷物をまとめ、いつの間にか出来上がっていた航平の荷物も持って、ロビーに降りてゆく。
フロントに荷物を預けて、近隣を散歩しようと思ったのだ。
一度外に出てみたが、春一番なのか、風がとても強く寒くて散歩どころでない。
仕方なく、ホテルの中で時間を潰す。
豪勢なロビーやその周りには、意外と見るものが多かった。
高級ブランドの店なんかも入っていて、普段ならあまり入らないそんな店を見て回った。
結婚式の当日なのか、前撮りなのか、ゴージャスな階段の辺りでプロっぽい人に写真を撮ってもらっている新婚さんもいる。
一通りぐるっとして、ロビーに戻って来たものの、航平が戻ると言った時間まではあと1時間近くある。
人がいっぱいだけど、ロビーの椅子に座って待つことに決めた。
どこか空いているところは...。
探していると、とてとてとおぼつかなく歩いている子どもが目に入る。
「ちょっと、ルイ」
数歩で追いついたお母さんがひょいと抱き上げて、その姿で思い出した。
朝のレストランで見かけた、手を振った子どもだ。
「すいません」
お母さんが、困ったように謝られた。
「いえいえ」
別に迷惑とかじゃないし。
抱っこされたそのルイくんは、捕まったのが嬉しいのかきゃっきゃと笑っている。
お母さんは窘めながら背を向けて歩き出したが、こっちに顔を出したルイくんが、睦美に手を振ってくれた。
ちょっとだけ振り返す。
「...誰に手を振ってんの」
不思議そうで、少し不機嫌そうな声がした。航平だ。
「あ、え。早かったね」
一応、LINEでロビーに居ると連絡はしてあったけど。
振り返ると、航平の横にもう1人、スーツの人物が立っている。
「同じグループ会社の斎藤さん」
「今日は」
「あ、どうも...。睦美です」
なんと言っていいやら。
婚約者です、って言うのも変だし。