この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ガーネット弐番館
第9章 現実と理想と
「海、行こうか」
「へっ?」
いつの間にか機嫌が直ったのか、颯爽と車に乗り込んだ。
睦美も慌てて車に乗る。
さっきまでの不機嫌そうなのが、一転だ。
何?単にお腹がすいてただけとか?
「どう?海」
「うん...」
ここから少し足を伸ばせば、行けない距離ではない。
「海、好きなの?」
「んー。学生の頃から数年、この辺りに住んでた」
ナビで指定した場所の近くを指さしている。
「え、そうなの」
大学の頃に、近くの飲食店でアルバイトを始めて。
在学時代に、辞めて社員にならないかとスカウトされた。
なんとか卒業はしてから社員になり。
半年ほどで、他店の店長を任された。
1年ほどしてエリア長に抜擢され。
そこからまた引き抜かれて、スーパーバイザーという仕事をしていた。
今度は、事業開発の新しいプロジェクトチームに所属することになる。
今まで聞いた事がほぼなかった仕事の話を聞くのが、昨日から不思議な感じだ。
「睦美は?」
睦美は、地元の大学を出て、一度は就職をした。
そこそこおおきな中古自動車販売店だった。
が、そこの2代目が、ほどなく会社を潰してしまう。
それから仕事を探してみたものの見つからず、派遣会社に登録した。
いくつか職種を点々として、今の工場に務めだした。
なんだか、比べると悲しくなってくる。
「会社潰れたって、2代目何したの?」
「色々だけどー。決定的だったのは、セクハラ?かな」
今でもハッキリ覚えてる。
当時50代半ばの2代目社長が、愛人の1人を社員にしてて。
それは有名だったんだけど。
ほかの社員にも手を出して。
それがその愛人にバレ、何故か女性同士結託して、社長を訴えた。
世間がセクハラに対して敏感になり始めた頃で、平和な田舎では格好のネタになり、当時は新聞にまで載って随分騒がれた。
そのセイもあって、睦美は再就職に苦労したのだ。
「睦美は?セクハラされなかった?」
「ぜっん、ぜん!!」
社長が好みだったのは、可愛くて胸のおっきな女性ばかりだった。
背が高く、胸が無いと言ってもいいほどぺったんこな睦美は、見向きもされなかった。
「気づかなかっただけじゃない?」
「ないない!」
キモくて、あまり近寄らなかったし。
務め出した頃は、まだ初代社長が居た。
初代社長のおじーちゃんには、孫のように可愛がられたけども。
「へっ?」
いつの間にか機嫌が直ったのか、颯爽と車に乗り込んだ。
睦美も慌てて車に乗る。
さっきまでの不機嫌そうなのが、一転だ。
何?単にお腹がすいてただけとか?
「どう?海」
「うん...」
ここから少し足を伸ばせば、行けない距離ではない。
「海、好きなの?」
「んー。学生の頃から数年、この辺りに住んでた」
ナビで指定した場所の近くを指さしている。
「え、そうなの」
大学の頃に、近くの飲食店でアルバイトを始めて。
在学時代に、辞めて社員にならないかとスカウトされた。
なんとか卒業はしてから社員になり。
半年ほどで、他店の店長を任された。
1年ほどしてエリア長に抜擢され。
そこからまた引き抜かれて、スーパーバイザーという仕事をしていた。
今度は、事業開発の新しいプロジェクトチームに所属することになる。
今まで聞いた事がほぼなかった仕事の話を聞くのが、昨日から不思議な感じだ。
「睦美は?」
睦美は、地元の大学を出て、一度は就職をした。
そこそこおおきな中古自動車販売店だった。
が、そこの2代目が、ほどなく会社を潰してしまう。
それから仕事を探してみたものの見つからず、派遣会社に登録した。
いくつか職種を点々として、今の工場に務めだした。
なんだか、比べると悲しくなってくる。
「会社潰れたって、2代目何したの?」
「色々だけどー。決定的だったのは、セクハラ?かな」
今でもハッキリ覚えてる。
当時50代半ばの2代目社長が、愛人の1人を社員にしてて。
それは有名だったんだけど。
ほかの社員にも手を出して。
それがその愛人にバレ、何故か女性同士結託して、社長を訴えた。
世間がセクハラに対して敏感になり始めた頃で、平和な田舎では格好のネタになり、当時は新聞にまで載って随分騒がれた。
そのセイもあって、睦美は再就職に苦労したのだ。
「睦美は?セクハラされなかった?」
「ぜっん、ぜん!!」
社長が好みだったのは、可愛くて胸のおっきな女性ばかりだった。
背が高く、胸が無いと言ってもいいほどぺったんこな睦美は、見向きもされなかった。
「気づかなかっただけじゃない?」
「ないない!」
キモくて、あまり近寄らなかったし。
務め出した頃は、まだ初代社長が居た。
初代社長のおじーちゃんには、孫のように可愛がられたけども。