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蜜な時間はあなたと共に
第6章 異国の地で電話×××

しばらく海を眺めて彼女が話すのを待っていると、彼女が口を開いた。
「メジャーデビューが決まってから、こんな事言うのもアレなんですけど…私、自分の歌声に自信が無いんです。高校の頃から歌い始めて、未だにしっくりくる歌い方や声の出し方が見出せないままここまで来てしまって…スタッフさんや友達に言っても、理解してもらえなくて…こんな状態のままデビューしても、歌い続けられるのかなって…」
話し終えると、冷めたコーヒーを飲み干して、カップを小さく丸めた。
「すみません、こんな話をしてしまって…」
「うん、大丈夫やで。でも、偉いなー。インディーズの頃からそんないっぱい考えて…」
「いえ、これくらい当たり前ですよ」
当たり前だと謙遜するけど、中にはそれが出来ない奴がいる。
「いやいや、デビュー決まって天狗になって、練習とか研究を怠る奴より何万倍も良いと思うよ。それに、自分の歌い方に疑問を持つのも大事やで」
「そうですか?」
「うん。デビューしたら、ボイストレーナーの人とトレーニングする機会がもらえるよ。あと、ミュージシャンとかアーティスト、バンドマンとか幅広い人らと友達になって色々話するようになると、歌い方のアドバイスをもらえるようになるから、大丈夫。弥生ちゃんはこれからもっともっと上手くなっていくよ」

