この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
鳥籠
第4章 chapter 4 終わりを始めた日

時計はまだ18時過ぎを指していた。
同窓会は19:30から、ここからは徒歩で行ける。
時間....一応ありますけど
なんて危機意識の無いことは言えなかった。
「警戒するのもわかりますけど、どっか行こうってんじゃなくて、ここで良いんです。」
スッキリとした輪郭が歪み、笑った。
人たらしの、好意が染み込んでくるような魅力的な笑顔。
「それだったら....」
「オオノさん!良いでしょ?」
「はぁ...また勝手を...」
「無理言ってこんな時間に店開けてくれたんだ!いい人だよ。」
マスターが扉に掛けた文字がCLOSEDになったとき気がついた。
バーが開くには早すぎる。
「こっちの方がいいですね」
彼が奥のテーブル席に二つのグラスを移し、素朴な無地の鞄からスケッチブックと鉛筆を3本取り出して、何が行われるかを悟った。
「えっと...あのー」
絵のモデルなんて気恥ずかしいことはしたことない。
見知らぬ、それも男性の前でなんてできようはずもなかった。
「大丈夫...」
彼はグラスを半分ほど口に含みの、そう言って微笑んだ。
遠くの席で聞いた感じより、こもるような、私を包み込むような声。
前触れもなく背筋がゾクッと感じてしまった。
彼のいる右側の背中が。
同窓会は19:30から、ここからは徒歩で行ける。
時間....一応ありますけど
なんて危機意識の無いことは言えなかった。
「警戒するのもわかりますけど、どっか行こうってんじゃなくて、ここで良いんです。」
スッキリとした輪郭が歪み、笑った。
人たらしの、好意が染み込んでくるような魅力的な笑顔。
「それだったら....」
「オオノさん!良いでしょ?」
「はぁ...また勝手を...」
「無理言ってこんな時間に店開けてくれたんだ!いい人だよ。」
マスターが扉に掛けた文字がCLOSEDになったとき気がついた。
バーが開くには早すぎる。
「こっちの方がいいですね」
彼が奥のテーブル席に二つのグラスを移し、素朴な無地の鞄からスケッチブックと鉛筆を3本取り出して、何が行われるかを悟った。
「えっと...あのー」
絵のモデルなんて気恥ずかしいことはしたことない。
見知らぬ、それも男性の前でなんてできようはずもなかった。
「大丈夫...」
彼はグラスを半分ほど口に含みの、そう言って微笑んだ。
遠くの席で聞いた感じより、こもるような、私を包み込むような声。
前触れもなく背筋がゾクッと感じてしまった。
彼のいる右側の背中が。

