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鳥籠
第4章 chapter 4 終わりを始めた日
時計はまだ18時過ぎを指していた。

同窓会は19:30から、ここからは徒歩で行ける。

  時間....一応ありますけど
なんて危機意識の無いことは言えなかった。

「警戒するのもわかりますけど、どっか行こうってんじゃなくて、ここで良いんです。」

スッキリとした輪郭が歪み、笑った。

人たらしの、好意が染み込んでくるような魅力的な笑顔。

「それだったら....」


「オオノさん!良いでしょ?」

「はぁ...また勝手を...」

「無理言ってこんな時間に店開けてくれたんだ!いい人だよ。」

マスターが扉に掛けた文字がCLOSEDになったとき気がついた。

バーが開くには早すぎる。

「こっちの方がいいですね」


彼が奥のテーブル席に二つのグラスを移し、素朴な無地の鞄からスケッチブックと鉛筆を3本取り出して、何が行われるかを悟った。


「えっと...あのー」

絵のモデルなんて気恥ずかしいことはしたことない。

見知らぬ、それも男性の前でなんてできようはずもなかった。


「大丈夫...」

彼はグラスを半分ほど口に含みの、そう言って微笑んだ。

遠くの席で聞いた感じより、こもるような、私を包み込むような声。

前触れもなく背筋がゾクッと感じてしまった。

彼のいる右側の背中が。


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