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第9章 ライバル

「だとしても、普通断るでしょ!?　ましてや私は神崎君の元彼女なんだよ？」

「それは凛々子だって同じだろ？」

神崎はつまらなさそうに呟いた。

「凛々子は瑞希の親友でもあり、相手は自分の元カレだ。俺は彼女の瑞希の願いは叶えてやりたい。けど、凛々子は別に帰ってもよかったんだろ？
だけど帰らなかった。俺たちの愛し合う様を自ら望んで見学した。違うか？」

その言葉は詭弁に感じたが、論破できない正論にも感じた。

凛々子は悔しそうに眉を歪めた。

「神崎君、言ってたよね？　私じゃなきゃダメなんだ、とか……なのになんで舌の根も乾かないうちに瑞希に、私の親友に手を出すわけ？」

凛々子は責める論点を変えてなじる。
いや、変えたというより始めからこちらの方が言いたかった内容であった。