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えっちなおもちゃ
第10章 浮気の代償
「この業界にしては物腰が柔らかで誠実そうな我妻さんに私は興味がわいたの。少し話をしてみたら雰囲気と違わない優しい人で、久しぶりに私は心が安らいだ。
こんな業界に入らなかったら我妻さんみたいな誠実で素敵な人と付き合って、結婚できてたかもな、なんて乙女剥き出しの感情になったの」

「我妻さん、優しくて真面目ですものね」

「そう。素敵な人。浮かれちゃった私は我妻さんとその後も色々な話をするようになったわ。その頃には運も良かったのか数本の作品に出て、私もそれなりに人気女優になってた。けどAV女優に恋愛御法度なんて決まりはあるわけないから、私が我妻さんと仲良くしていても誰にも咎められることはなかった」

「仲良く……されていたんですね……」

彼氏の過去を垣間見て、凛々子は弱々しく呟いた。

「あ、仲良くしていたといってももちろんキスすらしない清い関係だから。浮かれていた私は我妻さんに身の上話なんかもしちゃってて、それでさっきの写真を我妻さんにも見せたの」

ようやく話の結末が見えてきて、凛々子は小さく頷いた。

「我妻さんは写真を見て言ったの……可愛いって」

喜ぶべきところの割に声が沈んでいる姫宮を見て、凛々子はそこが終わりではないんだと察していた。

「今の私より可愛いって言ったの……写真の、高校時代の、整形する前の私の方が、今の私より可愛いなんて、初めて言われた……」

「姫宮さん……」

凛々子には痛いくらい気持ちがわかった。

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