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第5章 元カレとの再会

自己紹介は最後の凛々子の番になってしまう。

「あ、日下凛々子です……神楽大学の英文科の二回生です……出身地は、兵庫県で趣味はこれといって……散歩くらい、です」

これ以上ないくらいに簡潔に自己紹介を済ませ、凛々子はお辞儀をした。
凛々子の自己紹介の最中、厚化粧は神崎と雑談をしており、ざわついた雰囲気のおかげで凛々子と神崎が同じ出身地であるということに気づいたり指摘するものがいなかった。

自己紹介も聞かず男とじゃれあうという厚化粧の失礼な態度に凛々子はむしろ感謝した。

厚化粧も瑞希も帝都大学というステータスに興味津々のようで色々と質問をして盛り上がっていた。
神崎を含め、帝都大学の男性陣は大学内の変人の話などで盛り上がっていた。
あまり会話に参加しすぎないのもおかしいので凛々子も相槌程度で会話に加わっていた。

一時間も過ぎると自然な流れで、トイレに立ったメンバーが帰ってきてほかの席に座るという席替えも始まっていた。

凛々子はなるべく神崎の隣にならないように気を配りながら席を動くなどの配慮を見せていた。

厚化粧はどうやら神崎を気に入った様子で、神崎の隣に座っていた。
時折笑いながら神崎の手や肩を叩くボディタッチは、きっと彼女が愛読している女性ファッション誌のコンパ指南のコーナーに書かれていた雑文の影響なのだろうと、冷ややかに監視していた。