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MILK&honey
第14章 ふわっふわの、可愛いやつ

「……あ。」
「おう。お疲れ、光」
部屋に戻ると、朔が居た。
利人は居なくなっていた。入れ替わりにシャワーに行ったんだろう。いつもの事だ。
ちょうど良い。今なら聞ける。
「……朔ー?」
「なんだ?」
こっちを見もせず、ノートパソコンを弄りながら、生返事。これも、いつもの事だ。別に腹も立たねーし、今はこの方が都合が良い。
「あのさー?朔んちに、綿菓子みたいな部屋着あるよね?」
なるべく近付いて、小声で聞く。
俺はともかく、朔は聞かれたくねーかもだからな。
「……あ?……綿菓子?」
「……リビングに置いて有ったよな?ふわっふわで、可愛いヤツ……ほら、パーカーになっててー……この辺に、紐とかポンポンとか付いてる……」
……あ。
説明してたら、朔が突然こっちを向いた。
物も言わずに、赤くなった。
めっずらし……知り合って十年近く経つけど、こんなん見たことねーよ……。
「おっ前っなんで知ってっ」
「え?なんでって……こないだ朔んち行った時、俺の座った隣の椅子に、ふつーに置いて有ったけど?」
「んの馬鹿っ……」
小さい声で、朔が誰かを罵った。
手短に済ませたいんで、聞かなかった事にする。
「あれさー、どこで売ってんの?」
「……え。」
俺の言葉を、聞いた途端に。
朔はころっと真顔になって、珍しかった赤みも引いた。

