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第16章 ……聞かなかった事にしよう。

　好きな人が、「お兄さんのバンドの」、メンバーの誰か、なら。

　まず、巧は論外だ。兄貴本人だからな。
　お兄ちゃんの事、好きになっちゃった……って事はもしかしたら有るのかもしれねーが、いくらなんでも突然恋には落ちねーだろ。

　利人は……可愛いし格好良いし、色っぽくもある……な……。
　でも、あいつは年と顔に似合わず、すんげー遊んでるぞ？るりちゃん、きっと泣かされ…………あ。
　あいつは、特定の相手は作らねー主義だった。告ったところで失恋だ。

　あとは、朔か……。
　朔……可愛いか？
　格好良くて色っぽいかもしれねーが、可愛いくはねーよな……？
　いや。分からねーな、女は何でもかんでも可愛いーっ！！って言うからな……けど。
　朔には、おっぱいデカいふわふわのウサギちゃんみてーな女が居るんだよな……？
　って事は相手が朔だとしても、るりちゃん、失恋……。


　……以上。おしまい。

　ああああああ……結局、どいつが好きな相手でも、るりちゃん幸せになれねーじゃん……！！


「……あ。」
「ひっ！？」

　袋を手に持って、考えながら歩いてたら。

　何故かうちのエントランスの植え込みの陰に居た姫ちゃんに、物凄く驚かれた。