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MILK&honey
第16章 ……聞かなかった事にしよう。

「そぉですよ?」
「……へ?」

 人が、思い切って言ったのに。

「るりは、ボーカルのヒカリさんが、好きなんです。」

 姫ちゃんは、軽く肯定してみせた。


「え……だから、ヒカリは、女……って、分かってる……?」

 いろんな意味で信じられなくて、何度も確認してしまう。

「光さん?」
「はい」

 姫ちゃんが眉間に皺を寄せたまま、嘆かわしいとでも言いたげに、はぁーっと仰々しく溜め息を吐いた。

「うちの学校女子校だって、知ってる?」
「うん?……うん。」

 知ってる。お嬢様のお通いになる様な、歴史の長ーい女子教育の殿堂だよね。

「私たちにとって、女の子が女の子を好きになるのは、良くあることです。」
「……え゛。」
「普通です。日常です。」
「ぐえっ……」
「珍しくもなんともないですよ?私も時々るりが可愛すぎてムラっとしちゃって、ぎゅーってしたり、ちゅってしたりするし。」
「……ぐふっ!!!!」

 おいっ?!
 待て、姫ちゃん!!
 るりちゃんにムラっと……ちゅ、なんて……!!
 本気で待てぇええええ!!

 ……絶句。
 それって、小説とか漫画とかの話じゃなくて……?
 ……ほんとに、有るの!?
 なんなんだ、女子校……!!

「るりの御守り、知らないです?」

 姫ちゃんが見せてくれた画面には「♪るりの御守り♪」と書いてある。
 差し出したイヤホンを受け取ると、そこから俺が世界で一番聴きたくない声……ヒカリの声が、流れ出した。

「……おっ…………まもり、って……」
「ヒカリさんの歌は、るりの精神安定剤なの。大好きで、支えなの。辛いときとか、絶対聞いてる」


 ヒカリの歌が、るりちゃんの御守り……?!

 ダメだ……顔に血が上る……!!!!


 るりちゃんは、ヒカリが好き……?

 るりちゃんは、よりによって、
 
 女である、ヒカリが大好き…………っ?!
 

 俺はクソ忌々しいヒカリの声を聞きながら、昇天だか卒倒だか分かんねー何かを、しそうになった。
 
 
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