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MILK&honey
第16章 ……聞かなかった事にしよう。

なんなんだ……なんだ、それは……?
もしも……もしもだ。
俺がるりちゃんに告白したら、俺は振られる。
だって、るりちゃんは、ヒカリが好きなんだから。
でも、るりちゃんがヒカリに告白しても、るりちゃんは失恋だ。
だって、ヒカリは、
「光さん?」
「……あ?……」
「送って頂いて、ありがとうございました!」
姫ちゃんが、ぺこんと頭を下げた。
無意識に駅まで二人で歩いて来たらしい。途中、何も憶えてねーんだけど……すげーな、習慣って。
「あ、そうだ。るりの話!」
「……ああ」
「あれ、るりには、絶対内緒でお願いします。無理かもだけど、出来れば、聞かなかった事に」
「……うん……出来ればね……」
「これも、大事にします!!ありがとうございました!!」
雑誌を抱えてにこっと笑って手を振って、姫ちゃんは駅の雑踏に消えた。
……消えて大丈夫かよ。また迷子になんじゃ……
……人のことを心配している場合じゃねーや。
姫ちゃんどころじゃねえ。俺のが迷子だ。
帰ったら、るりちゃんが居る。ご飯作ってくれてる筈だ。
いつもなら、すげー嬉しい。少しでも早く帰りたい。
でも、今日は。
……どんな顔して、帰りゃあ良いんだ……?
『無理かもだけど、出来れば、聞かなかった事に』
俺もそう思うよ、姫ちゃん。
出来るもんなら聞かなかった時に戻って、忘れてーよ。
『るりは、ヒカリさんが、好きなんです。』
……るりちゃんの好きな人が誰か、ってとこだけでも良いから。

