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MILK&honey
第17章 「ありがとう、お世話になりました。」

 あの人は、今でも時々お父さんの居ない時に、ちくちく言ってくる。

 何のためにお金掛けて上に上がれて評判もそこそこ良い学校に入ったの?とか、外部を受けるなんてもったいない!とか、わざわざ受験するのにその志望校じゃ今までしてきたことが無駄なんじゃない?とか……。
 そんな風に言われるのも、慣れた。皮肉なもので、言われ慣れすぎて、だんだん気にならなくなってきた。

 ……そう言えば。
 最近あの人に言われたので一番どきっとしたのは、受験は全然関係ない、テレビを見てたときの呟きだった。

「芸能人って、売れたらそれまでの恋人とか奥さん捨てて、若い子に乗り換えるってパターン、多いわよねー」

 ……どきっとする理由なんて無いんだから、どきっとしなくたって良いんだよ、私。
 だいたい、全然奥さんとかじゃないし、それ以前に、恋人でもなんでもないし……でも。

 もしかーさんの人気が出たら、もうお家に来ないでって言われたりするのかなとか……
 受験が終わって大学生になったら、もう来る必要なくなったよねって言われるかもとか……
 なんとなーく、そんな事、思っちゃったんだよね……。

「……早く帰って来てくださーい。……あと何回一緒にご飯食べれるか、分かんないんだからー……」

 私は溜め息を吐いて、ソファにずるずると滑ってって、崩れた。

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