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MILK&honey
第17章 「ありがとう、お世話になりました。」

 疲れてるんだなー。
 起きて欲しいし、出来ればちゃんとお布団で寝て欲しいけど……起きるまで、このまま寝かせといてあげよっと。

 毛布代わりに、勉強するときに使ってる大判の膝掛けを取ってきて、掛けてあげる。
 ふつふつと、嬉しい気持ちが湧いてくる。
 居る、って、良いなあ……起きてなくって話とかも出来なくて、寝てるけど……寝ていても、居ないのとは、全然違う。

 床に座って、しばらくぼーっと眺めてて……突然、それに目が留まった。

「……ぇっ!?」

 ……虫っ?!

 大声を出さなかったのを、誉めて欲しい。
 
 かーさんの寝てる近くに、虫っ?!
 なんかっ、足がいっぱいあるやつ!!
 まさか、刺す虫?!
 かーさんが刺されたら、どうしよう!!

 私はなるべく落ち着いて、そーっとソファを離れた。で、そーっとスクールバッグからノートを出して、虫に気配が伝わらないように、そーっと、1ページ破った。
 それを折って細くして、そーっとソファのところに戻ると、虫はまだそこに居た。

「ぇぃっ!」

 ……なるべく遠くから、折ったノートの切れ端で突っついて落とす。
 なんとか、上手く落とせた……けど、虫は動かない。

 これ、死んでる虫??
 近くに寄って、そーっと観察する。

「……ぁ。」

 落ち着いてよーく見たら、それは、虫じゃなかった。
 一瞬、ほっとしたけど。

「……え!!!!」

 今度は驚きすぎたから、普通の声で叫びかけちゃった。

 毛虫みたいに見えた、それは。
 ふたつくっ付いた、つけまつげだった。

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