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MILK&honey
第4章 「私の御守り」
「ありがと。もう、大丈夫……ハンカチ、洗って返すね」
「いいよ!そんなの!!」
ヒメの手からハンカチを取り上げたら、怒られた。
「ねえ、るり」
「何?」
「今日……一人で帰るの?」
「うん」
「一緒に帰ろ!」
「え?」
ヒメは私の返事を待たずに無理矢理手を繋ぐと、廊下に向かって引っ張った。
「いいの?今日は進路の相談しなきゃだから、お兄ちゃんとこ寄るんだけど」
ヒメの家は私の家から遠い。お兄ちゃんちなんて、もっと遠い。学校を挟んで正反対だ。
「いいよ!るりをひとりで帰らせたら、心配で家に帰るまでに迷子になりそう」
床に落ちた卵はそのままで、教室を出た。私達が片付けなきゃいけない理由なんて、無い。
「ごめんね。ちょっとだけ、待ってて!」
「また忘れ物?」
ヒメは私を入り口に残して自分のクラスに入っていくと、ロッカーをひっくり返し始めた。しばらくしてロッカーから出したものを全部中に突っ込んで強引に扉を閉めて、ビニール包みだけを手に持って戻って来た。
「はい!これ、着て!」
「これ……」
冬用の、カーディガン。
夏服の今の時期、残暑の中で羽織るには、かなり、暑苦しい。