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MILK&honey
第18章 俺も、毎日、泣いてんだけど……?!

「ほら見ろ」
朔は、目を見開いて固まっている姫ちゃんの頭に、ぽんと手を乗せた。
「こいつは巧の妹にベタ惚れだって言ったろうがよ。こいつが『もう来るな』なんて、言う訳無ぇだろ」
「じゃあ、なんで……なんでるりは、あんなこと言ったの?」
「あんな事?」
「……こないだね、」
姫ちゃんはそう言って、話し始めた。
*
こないだねー。るりと会ったの。るりの本命の受験は、ちゃんと終わった後だよ?私だってそのくらいの配慮は出来るんだから、本命終わるまで我慢してたんだから。
で、その、終わった時?るりと会ったの、学校で。時々待ち合わせてお喋……お勉強してるのね?それで、今日朔ちゃんちに行くって約束してたから、るりと途中まで行こっかなーって思って……あ!約束守ってるよ?!ちゃんと、駅で別れてるから!!一人でここまで来たことなんか無
*
「……お前……巧の妹は、どうしたよ」
「あ!」
姫ちゃんのだらだらした話を、眉間を押さえた朔が遮った。
遮られて、良かったかもしれない。
「一人でここまで来たことなんか」、有るよね、姫ちゃん。来ちゃいけないのに迷っちゃったって、そういう事だったんだね。
「ごめんなさい、私、いつも話があちこち行っちゃって……とにかく、その時、るりに聞いたの」
*
「るり?今度光さんちの方に行くんだけど、一緒に行かない?」
「行かない」
「あ、受験?受験全部終わったら?大丈夫、るりは終わった後だよ!」
「……行かない」
「えー!!私の受験が残ってるから?大丈夫、落ちないし!!」
「もう、行かないの」
「え?」
「ヒメ。私はもう永遠に、光さんのとこには、行けないの」
「もっ……ひ……?!」
もう永遠に行けないって。永遠って何?!すごくない、永遠にって!!
それに、「光さん」って言ったの!!
あんなに、かーさんかーさん言ってたのにだよ?!なんで?!って、思うでしょ!?
でも、るり、最後に「もう質問は受け付けません」みたいな感じで、こう言ったの。
「分かった?この話は、これで終わり。」
で、ぜんぜん分かってなかったんだけど、その話はそこで終わっちゃって。
それから、るりは黙っちゃったんだけど……。
目に、いっぱい涙が溜まってたの。

