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MILK&honey
第18章 俺も、毎日、泣いてんだけど……?!

*
「はしもっ……さん……」
とんでもねー文化祭バンドを成功に導き、紆余曲折を経てメジャーデビューさせた、橋本先輩……橋本さん。
今ではバンドのメンバーから退いて、俺らのマネージメントに回っている。
デビュー前に自分の後釜のドラマーに利人を据えて、「歌姫と三人のイケメンで売るわよぉおおお!!」と戦略を立てたのも橋本さんだ。
「巧の妹なら、知ってんだろ。橋本さんの事」
「あ。」
『似てたっ……はしもとさん、似てた!』
「うん。知ってた。」
「なら、お前橋本さんの同類と思われたな」
「うぇええええ?!……でも橋本さん見た目は男だし、奥さんは女だし!!」
物腰と心は乙女だが、服装は男で配偶者は女性だ。ちなみに服装が男な理由は、絶望的に似合わないからだそうだ。その鬱憤を周りの人間で晴らすのが橋本さんの悪い癖で、その犠牲者の一人が俺だ。
「それはそれだろ。橋本さん知ってんなら、女っぽい男も居るって基礎知識は有んだろ?なら、衣装見てお前が外では女装してるって思い込んで、それがショックで来なくなったんじゃねぇか?」
「……そんな、誤解……」
「誤解だろうが何だろうが、そう思い込んでんだから……そう思い込ませる様な態度を取ってたんだから、仕方ねぇだろ」
「う」
ぐうの音も出ない。
朔には、巧とは違う冷たさというか、厳しさが有る。
朔は、こう見えて苦労人だ。身内に恵まれず、他人に揉まれて育っている。
だから、表面的には人にあまり関わらないし、常に不機嫌……に、見える。身近な人間には率直で厳しく、心にも無いことは口にしない。それが、朔の好意とか友情とかの示し方なんだが……。
耐えて長く付き合える奴は、少ない。
……特に、女は。
「こうなったら、本人に全部正直に言った方が良いんじゃねぇのか?」
「え」
朔のストレートな提案に、俺は、固まった。

