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MILK&honey
第24章 ずっと君を見ていたい

「お待たせー……っ」

「ううん」

 気力を振り絞って風呂場から出たら、るりちゃんはバスタオルに包まって、背中を向けて座ってた。
 ちょっと手を伸ばせば触れる距離に居る、ほわほわの湯上がりのるりちゃん。
 ……見ない。見えない。気が付かない……振りをする。

「急がせて、ごめんなさい」

「や、こっちこそごめんな。着替え用意しとこうと思ったのに、俺も入っちゃったから……湯冷めしてない?」

「ん、大丈夫」

 返事の主の方は見てねえ。見えてねーけど、湯上がりのるりちゃんから、いい匂いのほかほかが立ち上って、流れて来る。
 ボディソープはおんなじなのに、るりちゃんが使った途端にいい匂いになる……って、何の化学変化だろう。

「下着、ヒカリのが有ったら良かったんだけど……ヒカリは、ぱんつはいてねーんだ」

「えっ」

 渡すもんが濡れねー様にがしがし自分を拭きながら無駄話してたら、るりちゃんの声が動揺した。

「あ!違う違う!!下着は男もんって事でっ、フリチ……なんもはいてねー訳じゃねーから!!はい、とりあえずこれ新品!!」

 向こうを向いてるるりちゃんの前に、新品のトランクスを差し出す。
 新品の中で、一番女の子向きのヤツ。なんかのイベントの景品で貰った、謎のキャラクターのトランクス。
 ……可愛い……と、言えなくもねー。

「悪いけど、それ使ってくれる?」

「うん」

「あと、その上に着るヤツだけど」

「豆色のジャージ?」

 がさがさ言わせて用意してたら、くすくす笑われた。

「違ぇから!!彼女にんなもん……」

 たまーには着てみて欲しいけど、初めてのお泊まりだぞ。今日はナシだろ。

「……これ、嫌じゃ無かったら、着てみて欲しんだけど」

「え?」

 包みを開けて渡すか、そのまま渡すか、迷った末に、そのまま渡す。
 ちゃんと、包んで貰ったんだし。勿体ねーもんな。

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