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MILK&honey
第24章 ずっと君を見ていたい
近付いて来た姫ちゃんは、思い切りぶうたれた顔をしていた。
姫ちゃん?朔のが移ったの?取れなくなるよ、その皺。
……と思ってたら、突然ころっとにこやかになった。
「こんにちは、松森さん」
「んぁ?ああ、こんにちは、おめでとう!すごいね、総代なんて」
「ありがとうございます。松森さんも、すごいカッコいいです、スーツ姿」
「そお?えへへ、ありが……っと?」
姫ちゃんのお褒めの言葉に照れながら礼を言おうとしたら、なんだか背中が涼しくなった。はっとして振り向くと、眉間にめっちゃ皺が寄った朔……は分かるけど、るりちゃん?!
なんで?!なんで朔に姫ちゃんに、るりちゃんまで、皺っ?!
「あ。カメラ!」
「あ、これ?うん。写真撮ってあげよっか?」
「嬉しい!ありがと!!るり、一緒に撮って貰お!」
「……うん。」
皺は消えたけど、にっこり笑った表情がなんとなくカタい、るりちゃん。
……どしたの?何か、有った?
「……持ってるもん邪魔だろ。寄越せ」
朔が、姫ちゃんに言う。
姫ちゃんは俯いて、朔を見ない。
「姫ちゃん?荷物預かるってよ?」
聞こえなかったのかもと思って姫ちゃんに言ったら、朔の皮肉な物言い遮られた。
「妃愛乃お姉ちゃん?邪魔なもんは持たせときゃ良いだろうが、『弟』に。」
「……」
姫ちゃんは俯いたまま、朔に向かって無言で紙袋とスクールバッグを差し出した。薔薇は、抱えたままだ。
「行こ、るり!いっぱい撮ろ!!」
「……ん。」
白薔薇を抱えた二人は微妙にカタい笑顔のままで、撮影スポットに歩いて行った。