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MILK&honey
第24章 ずっと君を見ていたい
「婚約者のお迎えだとよ」
「へっ?!」
これ、全員、卒業生の婚約者……?!
今時、そんな世界が有んの?!
「今じゃ無ぇぞ?卒業と同時に嫁入り、みてぇな昔の話だと。今来てんのは、彼氏か告りたい奴だな。ほら」
言われてよくよく見てみれば、白薔薇持ってる生徒に薔薇を差し出してる奴の中に、頭下げられて謝られてる風な奴と、受け取って貰って一緒に帰るっぽい奴が居る。所々に、家族と一緒に談笑してる奴まで居んですけど……!!
「下級生からは白薔薇、恋人からは色の付いた薔薇を捧げられるってのが伝統らしいぞ。学校は黙認だそうだ。これも『お作法』ってヤツで……おっと」
先に出た姫ちゃんとるりちゃんは、二人でスマホを取り出して、学校の名前の看板と一緒に写真を撮っていた。校内スマホ禁止が徹底してんだねー、と感心……してる場合じゃ無さそうだった。
いちゃいちゃ写真を撮り合う二人の方を、ちらちら見ている男が居ますよ……?!制服着てる奴とか、スーツの奴とか、俺よりオジサンだろお前って奴とか。
みんな、なんだか細長ぇ袋を持って、じりじり二人に近付……
「妃愛乃」
あまりの今何時代ですかっぷりに動揺してたら、朔が動いた。
「なにっ!」
眉間に皺が寄った朔を上目遣いで睨みながら、姫ちゃんも眉間に皺を寄せた。……真似しなくても、良いんだよ?
「帰るぞ、『姉さん』」
「結構ですわ『ハジメさん』っ。るりと帰りますからっ」
「……こんなに荷物持てんのかよ。道にぼとぼと落とすぞ、白薔薇」
「平気ですうっ、タクシー呼びますからっ!!」
ぷんぷんしてる姫ちゃんに、朔は盛大な溜め息を吐いた。
「どうやって帰っても構わねぇから、とりあえず一緒に生物取りに来い」
「……なまもの?おさしみ?」
ぷんすかしてた姫ちゃんが、一瞬きょとんとした。
「なんで刺身だよ……花だ花」
「えっ」
「え゛」
えっ?有った?!
そんなの、車に有ったっけ!?
そう言やあの車、席から見えねートランク有んね……?!
ってかお前狡いな自分だけ!!卑怯だぞお前だけ!!
「どうして、お花……」
「迷惑なら持って帰る。……けど、せめて家までは送らせろ」
朔くん?あんたさっき姫ちゃんに、タクシーで帰って良いって言ったよね?
珍しく、言ってる事が支離滅裂だよ?