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MILK&honey
第24章 ずっと君を見ていたい
さっき見かけた、スーパーの三軒くらい隣の店に行く。
「すいません、ちょっとお聞きしたいんですけども」
「はい!いらっしゃいませ!」
華やかな店先から親しみの持てる笑顔を向けてくる、女性の店員さん。
思い切って、でも恐る恐る聞いてみる。
「あの……もしかして、もう無いかもしれないんですけど……」
「はい?」
卑屈な位下手に出つつ、口を開く。
「……薔薇ってっ、有りますかっ?!」
言っちゃった……!!
さっきのスーパーの生花コーナーにさえ、「バラは完売致しました」ってでかでかと貼り紙がして有ったから、聞くだけ、無駄かもしれねんだけど!!
でも、悔いが残んねー様に、努力だけでもして置きてーよ!
あああ……なんつー諦めの悪い俺……すげー格好悪い……!
「……ああ……バラ、ですね……」
……う!!!
お花屋さんに、めっちゃ可哀相な人を見る様な目で見られちゃった……!
分かりました!よーく、分かりましたっ!!
もう、お返事は、結構です……!
ああああこっぱずかしい……今すぐ走って逃げたい……!
「すいませんね、お客さん。毎年この日はかなり多目に仕入れてんですけど、とっくの昔に一本残らず売り切れまして」
「お父さんっ!」
奥から現れた、花屋じゃなくて魚屋みてーに威勢の良いオヤジさんが、俺の恥ずかしさを粉っ粉に打ち砕いた。